ハードディスク/HDDの物理障害のトラブル対策
ハードディスクは、磁性体を塗布した複数のディスクを重ね合わせ、スピンドルモーターで高速回転させることで、磁気ヘッドを使ってデータの読み書きを行う仕組みです。この精密な構造は、通常の使用環境でも予測不能な故障や障害が突然発生することがあります。使用環境が多様であるため、故障の原因を一概に特定することは難しいですが、一般的には経年劣化による部品の消耗や、温度や湿度の急激な変化が原因と考えられています。ハードディスクの耐用年数はおおよそ5年とされていますが、個体差が大きく、中には1年から3年で故障するものも少なくありません。
ハードディスクが消耗品であることを踏まえると、故障を完全に防ぐことは不可能ですが、大切なデータを守るための対策が重要です。ここでは、そのためのポイントをご紹介します。
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丁寧・慎重にHDDを取り扱う
HDD内部の部品も進化を続けており、現在では耐衝撃サスペンションや、衝撃を感知してヘッドを自動的に退避させる機構など、多様な工夫が取り入れられています。しかし、特に動作中に衝撃が加わると致命的なダメージを引き起こすことが多く、衝撃の影響は即座に現れるだけでなく、後日問題として現れることもあります。そのため、熱対策と併せて、HDDの置き場所や配置方法にも十分注意を払いましょう。
また、USB 3.0対応のポータブルHDDでは、ケース側のUSBケーブル差込口が基板から外れ、パソコンに接続できなくなるケースが増えています。これは、USBケーブルの取り外し時に過度な力がかかり、基板上の差込口が破損することが原因です。USBケーブルを抜き差しする際は、やさしく慎重に取り扱うことが非常に重要です。
異音がしているハードディスクは使用停止
ハードディスクから異音が発生している場合、内部に深刻な障害が生じている可能性が高く、そのまま動作(通電)を続けることで、記録面(プラッター)に損傷を与える危険性があります。そのため、普段と異なる音を感じたら、直ちに電源を切り、動作させないことが重要です。また、異音が聞こえなくても、落下や過剰電圧が原因で、BIOSで認識されない場合などは、物理的に故障している可能性が高いです。無理に動作(通電)させることで、障害がさらに悪化するリスクがあるため、慎重な対応が求められます。
HDDの障害についてハードディスクの開封や基盤交換は厳禁
ハードディスク内部は、わずかなチリやホコリが付着するだけでデータの読み取りが困難になります。そのため、開封作業はクリーンベンチなどの厳密な環境で行う必要があり、不適切な開封はデータ復旧を不可能にするリスクがあります。
また、ハードディスクの基盤は、それぞれのディスク固有の情報を持ち、制御を行っています。この基盤は生産ロットや規格により異なるため、安易に交換すると重大な問題を引き起こす可能性があります。特に近年では、同じ型番でもファームウェアが異なることが多く、異なるファームウェアを持つ基盤を使用すると、誤動作により致命的な障害を引き起こすことがあります。
ハードディスクの構造について濡れたハードディスクは乾燥させない
ハードディスクを濡れた状態で動作させると、ショートする危険性が非常に高いのは言うまでもありませんが、乾燥させてしまうと内部に水垢が残り、データの復旧が困難になる恐れがあります。そのため、一旦水没したハードディスクは、完全に乾く前に速やかにデータスマートにお送りいただくことが重要です。送付の際は、乾燥を防ぐために湿らせたタオルで包み、さらにビニール袋に入れて保護するようにしてください。
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