SSDの寿命は「TBW」指標で決まる

HDDをこれまで使用してきた方の中にはSSDも使ってみている方もいらっしゃるかと思います。SSDというフラッシュストレージもHDD同様に製品寿命があります。

使用上の不備や落下による部品の損傷を除けば、Solid State Drive (SSD) の寿命は、主にNANDフラッシュメモリのブロック(以下、単に「ブロック」と記載します)の書き換え回数に依存します。これは広く知られている通り、NANDフラッシュメモリの特性によるものです。

NANDフラッシュメモリは、不揮発性記憶媒体として電力を供給されなくてもデータを保持しますが、各ブロックには書き換え可能な回数に限りがあります。書き換え回数が増えると、ブロックの劣化が進み、最終的にはデータの書き込みや読み出しに支障をきたすことがあります。

この寿命の指標として、TBW(Terabytes Written)やDWPD(Drive Writes Per Day)といった値が用いられています。これらの指標は、SSDの耐久性を測るうえで重要な情報となりますが、実際の使用環境やデータの書き込みパターンによって、寿命は異なる可能性があります。

TBWとは

SSDの寿命を示す指標の一つがTBW(Terabytes Written = テラバイト書き込み)という値です。これはSSDにこれまで書き込まれたデータの総計(トータル)を表します。NANDフラッシュメモリには書き換え回数の上限がありますが、内部の設計により無駄な書き換えを抑える工夫がされており、ユーザーが直接書き換え回数を確認することはできません。そのため、SSDの耐久性を評価するためにTBWを指標にし、参考にできるようにしてくれています。

WD Blue™ SATA Internal SSD Hard Drive 2.5

例えば、Western Digital製のSSDでは、600TBWの耐久性が示されています。

製品ページ

この場合、SSDはトータル600TBのデータ書き込みが可能であることを意味します。一日100GBのデータを書き込む場合、約6,000日(約16年)に相当しますが、これは一般的な使用条件に基づくものであり、誤解を招きやすい表現でもあります。TBWの算出基準はJEDECにより、OSがインストールされた起動ドライブとして、家庭やオフィスでの通常利用を前提としています。したがって、ファイルサーバーのように24時間連続稼働する用途や、大容量データを頻繁に書き込む環境には当てはまりません。
JEDEC
公式サイト

さらに、最近のSSDには、ウェアレベリング技術やエラー訂正コード(ECC)など、NANDフラッシュメモリの耐久性を向上させるためのさまざまな技術が搭載されています。これにより、SSDの寿命は従来よりも大幅に向上していますが、依然として使用方法によって寿命が左右される点は認識しておく必要があります。

したがって、SSDの寿命を最大限に引き延ばすためには、適切な使用と定期的なバックアップが重要です。特に、書き込みが頻繁に行われる環境では、SSDの状態を定期的にモニタリングし、寿命が近づいた際には早めの交換を検討することが推奨されます。

実際には、家庭での一般的な使用で600TBものデータを書き込むには数十年かかると考えられます。また、TBWの上限に達する前に、データチップ以外の部分が経年劣化により故障する可能性もあります。
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TBWはSSDの耐久性を示す一つの指標ですが、購入時に必ずしも重視する必要はありません。ただし、SSDは使用するにつれて消耗していくため、空き容量が少ない状態での書き込みは避けることが推奨されます。SSDの空き容量が少なくなりパフォーマンスが低下してきた場合は、買い替えの目安とすることをおすすめします。

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