暗号化でスマートフォンのデータを保護

暗号化には大きく分けて二つの種類があります。それは対称暗号化と非対称暗号化です。このページではパソコンを用いた暗号化について解説致します。

暗号化について解説

対称暗号化

対称暗号化では、データの暗号化と復号化に同じ鍵を使用します。これは比較的高速であり、大量のデータを扱う場合に適していますが、鍵の配布が難しいという問題があります。つまり、暗号化されたデータを安全に復号化するためには、通信する両者が事前に秘密鍵を共有しておく必要があります。

非対称暗号化

非対称暗号化では、公開鍵と秘密鍵という二つの異なる鍵を使用します。公開鍵はデータの暗号化に使用され、秘密鍵は暗号化されたデータの復号に使用されます。この方法では、公開鍵をオープンに共有することができ、秘密鍵を秘密に保持することにより、安全な通信を行うことができます。非対称暗号化は、デジタル署名やSSL/TLSなどのセキュアな通信プロトコルで広く使用されています。

暗号化技術の進歩により、様々な暗号化アルゴリズムが開発されています。例えば、対称暗号化ではAES(Advanced Encryption Standard)、非対称暗号化ではRSAやECC(Elliptic Curve Cryptography)などがあります。

暗号化はデータの機密性を保護するだけでなく、データの完全性や認証などのセキュリティ要件を満たすためにも重要な役割を果たします。しかし、強力な暗号化技術を使用しても、鍵の管理が不適切であるとセキュリティが損なわれるため、鍵の管理には十分な注意が必要です。

スマートフォンにおけるデータ保護と暗号化の仕組み

現代のスマートフォンは、個人情報や業務データなど機密性の高い情報を多く取り扱うため、高度なセキュリティ機構が求められます。iOSおよびAndroidはいずれも、フルディスク暗号化やファイル単位での暗号化、ハードウェアレベルの鍵管理、通信の暗号化など、多層的なセキュリティ対策を講じています。本節では、それぞれのOSがどのようにしてユーザーデータを保護しているのかを解説します。

iOSのデータ保護と暗号化

  • フルディスク暗号化: iOSデバイスは、ファイルシステムレベルでフルディスク暗号化を採用しています。これは、デバイスがロックされている間、ストレージ上のデータを自動的に暗号化し、デバイスのロックを解除するための正しいパスコード、Touch ID、またはFace IDが提供されるまで、データへのアクセスを防ぎます。
  • ハードウェアセキュリティモジュール: iOSデバイスには、セキュアエンクレーブと呼ばれる専用のハードウェアセキュリティモジュールが搭載されています。これは、デバイスのパスコードや生体認証データを含む暗号鍵の生成、保管、管理を行い、デバイスのセキュリティを大幅に強化します。
  • データ保護クラス: iOSでは、ファイルごとに異なる「データ保護クラス」を設定できます。これにより、アプリ開発者は、デバイスがロックされている間、特定のデータに対するアクセスレベルを細かく制御できます。例えば、一部のデータはデバイスがロックされているときにもアクセス可能ですが、より機密性の高いデータはデバイスがアンロックされたときにのみアクセス可能になります。
  • 通信の暗号化: iOSデバイス間やデバイスとサーバー間の通信は、SSL/TLSを通じて暗号化されます。これにより、メール、Webブラウジング、iMessage、FaceTimeなどのサービスを通じたデータのやり取りが保護されます。
  • iCloudの暗号化: iCloudを通じて同期されるデータ(連絡先、カレンダー、写真、ドキュメントなど)も、転送中およびAppleのサーバー上で暗号化されます。さらに、iCloudキーチェーンを使用して、パスワードやクレジットカード情報などの機密情報を安全に同期・保管できます。

Androidのデータ保護と暗号化

フルディスク暗号化とファイルベース暗号化
Androidは、Android 5.0以降でフルディスク暗号化(FDE)をサポートし、Android 7.0以降ではファイルベース暗号化(FBE)を導入しました。FBEではファイル単位で暗号化され、ユーザーごとに異なるキーが使用されることで、複数のユーザーやプロファイルをより柔軟に保護できます。デバイスがロックされている間、ユーザーデータは暗号化されたまま保持され、正しいPIN、パスワード、または生体認証によってのみ復号されます。

ハードウェアバックのセキュリティ
多くのAndroidデバイスは、Trusted Execution Environment(TEE)Titan M(Pixelデバイス) のようなハードウェアセキュリティモジュールを搭載しています。これにより、暗号鍵や生体認証データなどのセンシティブな情報が、安全な領域で生成・保存され、OSからの不正アクセスを防ぎます。

鍵のストレージと認証
AndroidはKeyStoreシステムを通じて、アプリが暗号鍵を安全に生成・保管・利用できる仕組みを提供しています。これにより、鍵は安全なハードウェアに保持され、鍵そのものに直接アクセスすることなく暗号処理が可能となります。生体認証を使った鍵の解放など、柔軟なポリシー設定も可能です。

通信の暗号化
Androidでは、アプリがネットワーク通信を行う際に**TLS(Transport Layer Security)**の使用が推奨・強制されており、特にAndroid 9以降ではすべての通信がデフォルトでTLSを使用する設計となっています。これにより、アプリ間、またはアプリとサーバー間のデータ通信が暗号化され、盗聴や改ざんを防ぎます。

Googleドライブなどクラウドの暗号化
Androidデバイスのバックアップは、Googleドライブを通じて暗号化され、サーバー上でも保護されます。また、特にAndroid 9以降では、バックアップデータの暗号化にユーザーの端末パスワードを使うことで、Googleすら復号できない形での保護が実装されています。

セキュリティの強化

iOSデバイスのセキュリティは、ハードウェアとソフトウェアの両方に深く組み込まれています。Appleは、デバイスのセキュリティを継続的に改善するために、定期的にソフトウェアアップデートを提供しています。これにより、新たに発見された脆弱性に対処し、ユーザーのプライバシーとデータの保護を継続的に強化しています。

iOSの暗号化とセキュリティ機能は、ユーザーが日常的に直面する様々な脅威からデバイスとデータを保護するために設計されています。ユーザーは、これらの機能によって、プライバシーが守られ、個人情報が安全に保管されることを確信できます。

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iTunes

iTunesの暗号化バックアップ機能は、iOSデバイスのデータを安全にバックアップするための重要なツールです。この機能を使用すると、ユーザーはパーソナルデータを含むデバイスの完全なバックアップを暗号化し、パスワードで保護することができます。このプロセスは、ユーザーのプライバシーを保護し、データの機密性を維持するために非常に有効です。

iTunes暗号化バックアップの特徴

  • 完全なデータ保護: 暗号化されたバックアップには、保存されたパスワード、Wi-Fi設定、ウェブサイトの履歴、ヘルスデータ、およびHomeKit設定など、通常のバックアップには含まれない情報が含まれます。
  • セキュリティ: バックアップは強力な暗号化アルゴリズムを使用して保護されており、設定したパスワードがなければ内容を復元することはできません。
  • プライバシーの保護: パスワード保護により、ユーザー以外の誰もバックアップの内容にアクセスすることができません。
iTunesバックアップの暗号化した方がいい?あり・なしの違い

暗号化したデータの中には重要なものが多くあるかと思います。保存している端末が壊れてしまった場合には、端末から何かしらの方法でデータを抽出できるようにする必要があります。特に電源が入らなくなってしまったり、大きく損傷、破損した場合には重度の物理障害が発生している上に論理障害が発生している可能性が高いため、私たちデータスマートのようなデータ復旧専門業者への依頼が必要不可欠であるとも言えます。

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