データ復旧ナレッジ

データ復旧ソフトの使用が復旧率を下げる障害

データ復旧ソフトを使用してはいけない障害にはいくつかの典型的なケースがあります。これらの場合、ソフトウェアの使用がデータの損傷を悪化させる可能性があるため、専門のデータ復旧業者に依頼することが推奨されます。以下に、データ復旧ソフトを使用してはいけない具体的な障害例を紹介します。

1. 物理的な損傷

ハードディスクが物理的に損傷している場合：

  • クリック音や異常な音がする：ハードディスクからクリック音や異常な音が聞こえる場合、内部の部品が物理的に損傷している可能性があります。この状態でソフトウェアを使用すると、損傷が拡大し、データの完全な復旧が困難になる可能性があります。
  • 外部の損傷がある：ハードディスクが落下したり衝撃を受けたりして、外部に目に見える損傷がある場合も同様です。

ハードディスクドライブ（HDD）から聞こえるクリック音とは、通常の動作音とは異なる異常な音で、以下のような特徴があります。

クリック音の特徴

  • 繰り返し音：クリック音は一定のリズムで繰り返されることが多いです。カチッ、カチッといった短い音が連続するのが典型的です。
  • 金属的な音：金属がぶつかり合うような鋭い音であることが多いです。通常のHDDの動作音（静かなブーンという音やデータの読み書きのカリカリという音）とは異なります。
  • 断続的な音：クリック音は、一定の間隔を置いて断続的に発生します。

クリック音の例

クリック音を言葉で正確に表現するのは難しいですが、以下のような表現が一般的です。

  • カチッカチッという連続音
  • ガリガリと異音を立てる音
  • メトロノームのような一定間隔のクリック音

スマートフォンの電源が入らない場合

スマートフォンの電源が入らない場合に実はOS自体は動いていて、表面的には何も動いていないように思わたので、データ復元アプリで復旧を試みたところ初期化されたという事例もあります。これはメーカー製のソフトであっても同様です。浸水した場合でも起動障害を引き起こして立ち上がらなくなることがありますが、こちらも同様です。

まずスマートフォンが壊れている場合にはパソコンが認識しない可能性が高いのでソフト使用に至らないかもしれませんが、念のため詳細に解説したページをご案内いたします。

【関連】【スマートフォンのデータ復旧】復元ソフト使用でデータ消去の罠

2. 電気的な障害

電気的な故障が発生している場合：

  • 電源が入らない：ハードディスクやSSDが全く反応しない場合、電源回路や基板に問題がある可能性があります。この場合も、ソフトウェアの使用は適切ではありません。
  • 異臭や煙が出る：機器から異臭や煙が出た場合、内部の電気部品が焼損している可能性があります。このような状態でデータ復旧ソフトを使うと、さらに深刻なダメージを引き起こすリスクがあります。

3. 論理的な損傷が重度の場合

ファイルシステムが深刻に損傷している場合：

  • 重要なファイルシステムが破損：例えば、マスターブートレコード (MBR) やガイドパーティションテーブル (GPT) が破損している場合、データ復旧ソフトが誤って操作を行い、データがさらに破損する可能性があります。
  • ディスクが認識されない：コンピュータがディスクを全く認識しない場合、ファイルシステムの損傷が深刻であり、ソフトウェアでの復旧が困難です。
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4. ランサムウェアやウイルスによる被害

マルウェアやランサムウェアの感染：

  • ファイルが暗号化されている：ランサムウェアに感染してファイルが暗号化されている場合、データ復旧ソフトでは対応できません。専門の復号ツールやサービスが必要です。
  • システムが不安定：ウイルスやマルウェアによってシステムが不安定になっている場合、復旧ソフトを使用するとさらに状況が悪化する可能性があります。

5. RAIDシステムの障害

RAIDアレイが破損している場合：

  • RAIDコントローラの故障：RAIDコントローラが故障してRAIDアレイ全体がアクセスできない場合、ソフトウェアによる操作は推奨されません。RAIDの再構築やデータ復旧には専門知識が必要です。
  • 複数のディスクが同時に故障：RAID 5やRAID 6など、冗長性のあるRAID構成でも、複数のディスクが同時に故障した場合は専門業者に依頼することが安全です。

まとめ

これらの障害例では、データ復旧ソフトを使用することは逆効果となる可能性があります。物理的損傷や電気的故障、重度の論理的損傷、ランサムウェアの被害、RAIDシステムの障害など、専門的な対応が必要な場合は、信頼できるデータ復旧サービスに相談することが重要です。専門家の手による適切な対応が、データを安全に、そして効果的に復旧するための最善の方法です。

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