テレワーク(在宅勤務)の基本
IoTやクラウド技術の進化に伴い、ネットワーク接続が当たり前の時代となりました。働き方改革や災害時の対応として、多くの企業がテレワークの導入を進めています。特に新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が十分な準備を整えないまま急遽在宅勤務を開始する事態となりました。ここでは、テレワークをスムーズに開始するための基本的な知識を解説します。
目次
テレワーク環境の整備
テレワークを快適に行うためには、まずはインターネット回線の確保が不可欠です。特にWeb会議やリアルタイムでのコミュニケーションを行う場合、安定した高速回線が必要です。以下に、代表的な接続方法を説明します。
A. ブロードバンド回線
光回線やCATVインターネット、ADSLなどのブロードバンド回線は、最も安定した選択肢です。しかし、設備状況によっては開通工事が必要となり、利用開始までに時間がかかる場合があります。
B. モバイルWi-Fiルーター
携帯電話と同様のモバイル回線を使用するルーターです。主に出張や外出先で利用されますが、自宅でもホームルーターとして利用できる機種があります。ホームルーターは、複数端末を同時接続しても比較的安定しており、開通工事が不要です。ただし、回線の混雑や速度制限の影響で、通信速度が低下する場合があります。
C. テザリング
スマートフォンやタブレットを使ってインターネットに接続する方法です。利便性は高いものの、通信量に応じて速度が低下したり、高額な料金が発生する場合があるため、事前に料金プランの確認が必要です。
D. 公衆無線LANサービス
カフェや駅、空港などに設置されたWi-Fiを利用する方法です。簡単に接続できる反面、セキュリティリスクも高いため、業務で利用する際には注意が必要です。安全に利用するためには、VPNの導入が推奨されます。
クラウドストレージの活用
テレワークでは、資料やファイルを他者と共有する機会が多くなります。従来はメールでのやり取りが一般的でしたが、大容量ファイルはクラウドストレージを利用する方が効率的です。クラウドストレージサービスは複数の企業が提供しており、無料プランや有料プランが選択できます。以下に代表的なサービスを紹介します。
- Dropbox
- Googleドライブ
- iCloud
- OneDrive
- DirectCloud-BOX(法人向け)
コミュニケーションツールの活用
テレワークでは、オフィスでのような対面でのコミュニケーションが減少するため、適切なコミュニケーションツールを利用することが重要です。
チャットツール
文字で短いメッセージをやり取りできるため、電話やメールよりも迅速で簡単なコミュニケーションが可能です。
Web会議ツール
相手の顔を見ながら会話ができ、複数人での会議も可能です。テレワーク中でもオフィス同様に会議が行えます。
主なツール:
- Zoom
- Google Meet
- Skype
- Slack
- Microsoft Teams
セキュリティリスクと対策
テレワークでは、社内ネットワークに比べてセキュリティ環境が整っていない場合が多く、リスクが増します。ここでは、テレワークにおける主要なリスクとその対策を紹介します。
1. 公衆無線LAN利用時のリスク
暗号化されていないWi-Fiを利用すると、通信内容や端末の情報が漏洩するリスクがあります。安全に利用するためには、必ずVPNを使用し、Wi-Fi接続時にはWindows 10で「パブリック」ネットワークを選択するなどの対策を講じましょう。
2. 端末管理と対策
テレワークで使用する端末は、誰がどの端末を使用しているかを常に把握し、管理する必要があります。また、パスワード認証ではなく多要素認証を導入することで、アカウントハッキングのリスクを低減できます。セキュリティ対策ソフトも導入し、ウイルス対策だけでなく、不正アクセスやデータ漏洩に対する保護機能も備えたものを使用しましょう。
3. 紛失・盗難・破損への対策
紛失や盗難に備えて、端末には暗号化を施しましょう。WindowsではBitLocker、MacではFileVaultを利用することで、データの保護が可能です。また、VDI(仮想デスクトップ環境)を導入することで、端末にデータを残さず、万が一の際にも情報漏洩を防ぐことができます。
テレワークを安全かつ効率的に行うためには、これらの対策を事前に整え、リスクに備えることが重要です。