RAIDのデータ復旧を徹底解説!モード別の対処法

企業で重要なデータを管理する際に活用される「RAID」は、複数のHDDを使って大量のデータを効率的に扱う仕組みです。しかし、万が一障害が発生すると、データにアクセスできなくなったり、最悪の場合にはデータそのものが失われてしまう可能性もあります。
こうしたリスクに備えるには、RAIDにおける障害の原因やその対処法をあらかじめ理解しておくことが重要です。
そこでこのページでは、RAIDで障害が発生する主な原因と、RAIDモード(レベル)ごとに異なるデータ復旧の方法についてご紹介します。
RAIDのデータ復旧
目次
復旧の可能性を少しでも高めるためには、障害が疑われた段階で、すぐに使用を中止することが重要です。RAIDのデータ復旧は、障害の内容によっては自力での対応が難しいケースも少なくありません。対処に自信がない場合や、少しでも不安があると感じた際には、できるだけ早めに専門業者へ相談することをおすすめします。
RAIDの特長

RAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)とは、2台以上のHDDをまとめて1台のHDDのように認識させる技術です。複数のモード(RAID0やRAID1など)が存在し、それぞれに異なる特長があります。
たとえばRAID0は、複数のHDDにデータを分散して書き込むことで、データの読み書きを高速化できる点が特長です。一方、RAID1やRAID5といったモードでは、一定の範囲内でHDDが故障してもデータの取り扱いが可能な構成になっています。
このようにRAIDでは、データ転送の高速化や冗長性の確保といった目的に応じて、用途に合わせた柔軟な保存方法を選択できるのが特長です。
RAIDのデータに起きる障害の原因
RAIDには、冗長性を確保できるモードがあるものの、データの損失リスクを完全に排除することはできません。RAID環境でデータ障害が発生する主な原因としては、次のようなものが挙げられます。
1. HDDの故障
落下による衝撃や水没、経年劣化、さらには停電や落雷などが原因となり、HDDや筐体が物理的に故障すると、データ障害を引き起こすことがあります。
こうした物理障害が起きると、RAID機器が起動しない、サーバーにアクセスできない、HDDから異音がするなどの症状が現れることが一般的です。
このような物理的な故障が原因で障害が生じた場合には、高度な技術力を要するため、基本的に自力での復旧は困難です。
2. HDD内のデータの破損
HDDや筐体自体に異常が見られない場合でも、HDD内部に保存されたデータが破損しているケースがあります。原因としては、誤操作によるデータの削除、ウイルス感染、ファイルシステムの障害などが考えられます。
データが破損すると、内蔵HDDやネットワーク上のRAID装置が正しく認識されない、フォーマットを要求されるといったトラブルが発生することがあります。そのままの状態で使用を続けると、データが上書きされ、復旧が難しくなるおそれがあるため、直ちに使用を中止してください。
3. RAIDコントローラの障害
RAID構成において複数のHDDをひとつにまとめる役割を果たす「RAIDコントローラ」が故障することも、データ障害の原因となります。RAIDコントローラの障害は、経年劣化、衝撃、または熱暴走などによって引き起こされることがあります。
この場合、HDDが正しく認識されない、RAIDの構成情報が損傷する、あるいはRAID機器そのものが起動しないといった症状が現れます。
RAID修復・データ復旧の確率を高めるポイント
万が一RAIDに障害が発生した場合、データ復旧の可能性を高めるためには、慎重な対応が必要です。障害が疑われる状況で、誤った操作を行うと状態が悪化し、復旧が困難になるリスクがあります。以下のような行為は避けるよう注意しましょう。
電源のオン/オフを繰り返さない
電源の入れ直しを繰り返すことでHDDに大きな負荷がかかり、症状が悪化する恐れがあります。復旧作業の前に、不要な電源操作は控えてください。
HDDの交換を行わない
障害が疑われる段階でHDDを交換すると、RAIDが自動的にリビルドを開始することがあります。このような強制的な処理は状況を悪化させかねないため、HDDの交換は慎重に判断し、安易に行わないことが重要です。
RAIDコントローラの交換は控える
たとえ障害の原因がRAIDコントローラにあると考えられても、個人での交換は推奨されません。RAIDコントローラは特殊な仕様の製品も多く、誤った製品に交換した場合、RAIDの構成情報が適切に読み込めず、データ復旧が極めて困難になる可能性があります。
RAIDのリビルド(再構築)は慎重に
リビルドとは、故障したHDDのデータを別のHDDに復元し、RAID構成を再構築する処理です。しかし、障害の兆候がある状態でリビルドを行うと、正常なHDDにまで障害が波及する可能性があります。
結果としてRAID構成自体に異常が生じる「RAID崩壊」が発生し、RAID機器が起動しなくなったり、データが消失したりするリスクもあるため、十分な理解と準備がないままの実行は避けましょう。
データに障害が発生した際の対処法
RAIDに障害が発生した場合でも、適切な対処を行えばデータを復旧できる可能性があります。ここでは、障害が疑われる際の基本的な対処法を、RAIDのモード(レベル)別にご紹介します。
RAID0(ストライピング)
RAID0は、2台以上のHDDにデータを分散して書き込む構成で、高速な読み書きが可能になるのが特長です。しかし、RAID0には冗長性がなく、構成しているHDDのうち1台でも故障すると、すべてのデータにアクセスできなくなります。
RAID0の復旧方法:
- データ復旧ソフトを使用して復旧を試みる
- 専門業者にデータ復旧を依頼する
RAID1(ミラーリング)
RAID1は、2台以上のHDDに同じデータを書き込む構成です。1台のHDDが故障しても、もう一方のHDDからデータを読み出すことが可能です。
ただし、HDDが1台故障してもシステムは通常通り動作し続けるため、障害に気づかず運用を続けてしまう危険があります。その結果、さらなる障害によってデータが消失するリスクもあるため、注意が必要です。
RAIDを構成しているHDDの一部に障害が発生すると、「RAIDアレイがデグレードモードで動作中」といった警告メッセージが表示されることがあります。メッセージが確認された時点で、直ちに使用を中止してください。
RAID1の復旧方法:
- リビルドを行ってRAIDを再構築する
- データ復旧ソフトを使用する
- 専門業者にデータ復旧を依頼する
RAID5
RAID5は、3台以上のHDDを使って構成され、データの書き込み時に「パリティ」と呼ばれる符号を生成して、データ修復に備える仕組みです。1台のHDDが故障しても、パリティ情報を使ってデータを復旧することができます。
RAID5の復旧方法:
- リビルドを行ってRAIDを再構築する
- データ復旧ソフトを使用する
- 専門業者にデータ復旧を依頼する
RAID6
RAID6もRAID5と同様にパリティを生成して冗長性を確保するモードですが、RAID6ではパリティを二重に生成し、2台のHDDに記録することで、さらに高い信頼性を実現しています。そのため、2台のHDDが同時に故障してもデータを保持できます。
ただし、構成には最低4台以上のHDDが必要であり、RAID5と比べて書き込み速度がやや低下する傾向があります。
RAID6の復旧方法:
- リビルドを行ってRAIDを再構築する
- データ復旧ソフトを使用する
- 専門業者にデータ復旧を依頼する
自信がない方は専門業者に依頼がおすすめ
RAIDが故障した際の復旧には、専用の設備やツールが必要となります。自力でのデータ復旧は非常に難しく、誤った対処を行ってしまうと、かえって状況を悪化させてしまう恐れがあります。
データ復旧ソフトを利用すれば、自力で復元できる可能性もゼロではありません。ただし、こうしたソフトは軽度の論理障害に限って効果を発揮するものであり、RAID特有の複雑なデータ障害には対応できないケースが多くあります。
こうした点を踏まえ、不安がある場合や障害の原因が特定できない場合には、技術力と知見、そして実績を備えた専門業者に依頼することを強くおすすめします。
バックアップがポイント
RAIDは、モードによってはデータの冗長性を確保できる便利な機能ですが、誤ってデータを消去してしまったり、ファイルが破損したり、機器が物理的に故障したりすることで、データが消失するリスクを完全に排除することはできません。
また、HDDやSSDを単体で使用する場合と比べて、RAID構成ではデータ復旧の難易度が高くなる傾向があります。そのため、RAID構成を採用したNASやサーバーを使用している場合は、日頃から定期的にバックアップを取ることを強く意識する必要があります。
外付けストレージなどにバックアップを準備しておけば、万が一データ障害が発生した際にも、元のデータを迅速に取り戻せる可能性を高めることに繋がります。