上書きによるデータ消失
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目次
知っておきたいパソコン基礎知識
データの上書き消失とは?
データの上書き消失は、人為的なデータトラブルの中でも特に多く発生する問題です。過去にはデータの取り込み漏れなどが一般的なトラブルとされていましたが、最近では新たな傾向も見られるようになりました。
ここでは、上書きによるデータ消失の主なケースとその対策について解説します。
1. データの取り込み漏れ
事例: デジカメやスマートフォンで撮影したデータをパソコンに取り込んだ後、取り込み結果を十分に確認せずにSDカードやメモリカードをフォーマットしてしまい、後から一部のデータが取り込めていなかったことに気付くケース。
対策:
- 取り込みが完了した時点で、カード内のデータと取り込んだデータのファイル数や容量が一致しているか確認してください。
- データの移動ではなく、コピー機能を使用する。不意のトラブルで転送が途中で停止しても、元データが残るため再度取り込むことが可能になります。
2. データの入った記録媒体を接続したままパソコンをリカバリ
事例: パソコンの動作が遅くなったためリカバリを実施した際に、誤って外付けHDDを接続したまま操作し、外付けHDDに新しいOSを書き込んでしまうケースがあります。
対策:
- パソコンをリカバリする際には、外付けHDDやUSBメモリを取り外し、できるだけシンプルな状態でリカバリを行うことが有効な手立てです。
- OSの再インストールやリカバリ前に、必要なデータのバックアップを確実に取ることを推奨いたします。
詳細はこちら: パソコンを初期状態に戻す方法
3. その他の3パターン
上記以外にも、意図せずデータを上書きしてしまうトラブルが多く発生しています。
①:PC用外付けHDDにTV番組を録画してしまった
問題点: PCで使用するファイルシステムとTV録画用のファイルシステムは異なるため、録画時にHDDが初期化され、元のデータが消失する。
対策:
- TV録画用とPCデータ保存用のHDDを分けて使用する。
②:間違ってデータの保存されたUSBメモリをWindows 10のインストールメディアにしてしまった
問題点: Windowsの公式サイトにも「USBフラッシュドライブの内容はすべて削除される」と明記されており、データは完全に消えてしまう。
対策:
- インストールメディア用に新しいUSBメモリを用意し、既存のUSBメモリのデータをバックアップしておく。
case03:誤って外付けHDDにパソコンのバックアップデータを保存してしまった
問題点: MacのTime Machine機能やWindowsの回復ドライブ機能を利用すると、HDD内の既存データが消去されてしまいます。
対策:
- バックアップ専用のHDDを別途用意し、データ保存用HDDと混同しないようにすることが重要です。MacにはOSとユーザーデータの両方を定期的にバックアップすることが可能な「TimeMachine機能」があります。この機能を利用することで、任意の日付まで遡ってデータを取り出せる、まさにタイムマシーンという名前の通り、過去の状態を復元することができます。
Time MachineでMacをバックアップする
https://support.apple.com/ja-jp/HT201250
回復ドライブを作成する
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4026852/windows-create-a-recovery-drive
4. 上書きを防ぐための対策
- データ保存用とバックアップ用のメディアを分ける
- TV録画や回復ドライブなど特定の用途で使用するメディアは、通常のデータ保存用とは別に用意する。
- 重要なデータを定期的にバックアップする
- クラウドストレージや外付けHDD、NASを活用し、二重のバックアップ体制を構築する。
- 誤操作を防ぐための設定を行う
- HDDやUSBメモリに誤ってOSやバックアップデータを書き込まないよう、フォーマットを制限する設定を導入する。
- 上書きが発生した場合の対応を知る
- 上書きの度合いが少なければデータ復旧が可能な場合もあるため、適切な手順で対応する。
まとめ
データの上書きによる消失は、さまざまな要因で発生します。特に、データの取り込み漏れやリカバリ操作時のミス、外付けHDDの誤使用などは、慎重な対応が必要です。上書きされたデータでも、完全に消失したわけではない場合があり、適切な対応を行えば復旧できる可能性があります。なお、回復ドライブはWindowsを復旧するためのものであり、故障したUSBメモリなどのメディアを修復するためのものではないため、ご注意ください。
万が一データを上書きしてしまった場合は、データの書き込みを直ちに停止し、私たちデータスマートのような専門のデータ復旧をサービスとして提供している会社に相談することをおすすめします。