HDDのデータは自分で復元可能?専門家の立場で解説

HDDのデータは復元可能?
パソコンを操作中に誤ってデータを削除してしまうミスは、誰にでも起こり得るものです。しかし、消えてしまったHDDのデータは、状況によっては復元が可能です。
削除されたデータは、画面上では見えなくなりますが、HDD上から完全に消去されるわけではありません。内蔵HDD・外付けHDDを問わず、データが消えた直後であれば復元できる可能性があります。
ただし、削除後に新しいデータが上書きされてしまった場合や、HDD自体が物理的に故障している場合は、データの復元が困難になるため注意が必要です。
HDDのデータが消失・アクセス不能になる原因と症状
HDDのデータが消えてしまったり、アクセスできなくなったりするトラブルには、さまざまな原因が考えられます。
ここでは、HDDからデータが消失する主な原因と、それぞれの具体的な症状について解説します。
2-1 物理障害
HDD自体が物理的に破損してしまった状態を「物理障害」と呼びます。これは、落下による衝撃、水没、熱暴走、落雷によるショート、経年劣化などによって発生します。
物理障害が発生すると、以下のような症状が現れることが一般的です。
- OSが起動しない
- HDDが認識されない
- エラーメッセージが表示される
ほとんどの場合、パソコンが正常に動作しなくなります。
物理障害からの復旧にはHDDの分解やパーツ交換などの高度な作業が必要となるため、自力での対応は極めて困難です。
2-2 論理障害
HDD本体に物理的な異常はないものの、内部のデータ破損やファイルシステムの障害が発生している状態を「論理障害」と言います。
主な原因として、以下のようなケースが挙げられます。
- 誤ってデータを削除・上書きしてしまった
- HDDをフォーマット(初期化)してしまった
- データの読み書き中に電源を遮断した
- コンピュータウイルスの影響によるデータ破損
軽度の論理障害であれば、データ復旧ソフトを使用することでデータを取り戻せる可能性があります。
2-3 ケーブルの接触不良
HDDが認識されず、データの読み書きができない場合、HDDとパソコンの接続ケーブルの破損や接触不良が原因である可能性があります。
特に外付けHDDの場合、以下のようなトラブルが考えられます。
- USBケーブルの破損
- 端子の接触不良
また、データの読み書き中にケーブルを抜いてしまうと、データ破損の原因になるため注意が必要です。
HDDのデータ復元率を下げないための5つのポイント
前述のとおり、HDD内のデータは状況次第で復元できる可能性があります。しかし、HDDに障害が発生していると疑われる場合、本体の取り扱いには十分な注意が必要です。データ復元の確率を少しでも高めるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
POINT1 電源のオンオフを繰り返さない
HDDの故障が疑われる場合、電源のオンオフやパソコンの再起動を繰り返すのは避けましょう。HDDに過度な負荷がかかり、状態が悪化することで、障害が深刻化する恐れがあります。
また、HDDの異常に気付いたら、できるだけ早く電源を落とし、パソコンの通電を止めることも重要です。通電を続けると、データの読み込みや上書きが発生し、データ復元がより困難になる可能性があります。
ただし、HDDの不具合がケーブルの接触不良によるものであれば、ケーブルを抜いて挿し直すことで問題が解決するケースもあります。
POINT2 フォーマットをしない
外付けHDDをパソコンに接続した際に「フォーマットしますか?」というメッセージが表示されても、フォーマット(初期化)を行わないようにしましょう。
万が一フォーマットを実行してしまうと、HDD内のデータがすべて消去され、復元の難易度が大幅に上がります。
POINT3 他の媒体と接続しない
HDDの故障がウイルス感染によるものである可能性も考えられます。この場合、ウイルスの感染拡大を防ぐために、内蔵HDDに障害が疑われる場合は、USBメモリや外付けHDDなどの周辺機器を取り外すことが重要です。
また、外付けHDDに障害が発生している場合、他のパソコンに接続するのは避けるべきです。ウイルスが拡散し、新たな障害を引き起こす恐れがあります。
POINT4 HDDを分解しない
個人でHDDを分解することは避けましょう。HDDは非常に精密な機器であり、内部にわずかなホコリが入るだけでも深刻な破損を引き起こす可能性があります。
HDDの分解には専門的な知識や技術、専用設備が必要であり、個人が無理に分解を試みると、状態が悪化するリスクが高くなります。さらに、一度でも分解してしまうと、メーカー保証を受けられなくなる点にも注意が必要です。
POINT5 起動できる場合はバックアップを取る
HDDに異常が見られるものの、パソコンが正常に認識している場合は、できるだけ早く新しいHDDやクラウドストレージにバックアップを取ることが有効です。
完全に故障する前にバックアップを取っておけば、データ消失のリスクを回避できます。特に異音がする、動作が遅くなったなどの兆候がある場合は、すぐにデータを退避させることを推奨します。
HDDのデータを復元する方法
HDDに障害が発生しても、状況によってはデータを復元できる可能性があります。ここでは、HDDのデータを復元する方法について紹介します。
4-1 データ復旧ソフトを利用する
障害の原因が軽度の論理障害であり、パソコン自体が正常に起動する場合、データ復旧ソフトを使用することでデータを取り戻せる可能性があります。
データ復旧ソフトには、無料のフリーソフトから有料版までさまざまな種類があり、専門業者に依頼するよりもコストを抑えられるのが特長です。ただし、ソフトによって対応できる障害の範囲が異なるため、以下のポイントを確認した上で選ぶことが重要です。
- データ復旧ソフトが対応できる障害か(論理障害のみ対応可能なものが多い)
- 使用しているOSや機器に適合しているか
- ソフトの安全性や信頼性は十分か
ただし、データ復旧ソフトを使用することでデータが上書きされるリスクがあるほか、HDDに物理障害が生じている場合には、障害が悪化する可能性もあります。特に、大切なデータが保存されている場合は慎重に対応する必要があります。
特に、MacBookはWindowsと比べて対応しているデータ復旧ソフトが少ない傾向があります。そのため、Mac用の外付けHDDに障害が発生した場合は、無理にソフトを試さず、以下の方法を検討するのがおすすめです。
4-2 専門業者に相談する
自分ででデータ復元を試みると、かえって状態が悪化し、データが完全に失われるリスクがあります。対処に自信がない場合や、重要なデータが保存されている場合は、私たちデータスマートのようなデータ復旧業者に相談するのが最も安全な選択肢です。
専門業者に依頼することで、自分での復旧よりもデータを取り戻せる可能性が高まります。ただし、業者によって技術レベルや対応できる障害の範囲が異なるため、以下の点を考慮して慎重に選びましょう。
- 確かな技術力と実績があるか
- 対応可能な障害の範囲が明確か
- 信頼できる評判や口コミがあるか
信頼のおける専門業者を選ぶことで、データ復旧の成功率を最大限に高めることができます。HDDは精密機器であるため、データの破損や消失といったトラブルが常に発生する可能性があります。障害が疑われる場合は、データ復元の成功率を高めるためにも、直ちに使用を中止することが重要です。
また、ご自分でデータを復元する方法もありますが、必ずしもデータを取り戻せるとは限りません。HDDに重要なデータが保存されている場合や、ご自分での対応に不安がある場合は、早めに私たちデータスマートのような専門業者にご相談なさることをおすすめします。かえって障害を大きくし、致命傷を与えてしまうこともあります。十分にご注意いただいた上でお取り扱いください。