ハードディスクの大容量化とセクタサイズ

ハードディスクの大容量化が進展する中、かつては業務用としてのみ入手可能だった8TBや10TBのハードディスクが、現在では家電量販店で手軽に購入できるようになりました。

ハードディスクの容量を拡大する方法は、大きく分けて二つあります。一つはデータを記録する円盤(プラッタ)の枚数を増やす方法であり、もう一つはプラッタ1枚あたりの記録密度を向上させる方法です。ハードディスクの外形寸法は規格で定められているため、内部に搭載できるプラッタの枚数には限界があります。したがって、容量の増大には、プラッタの記録密度を高める技術が不可欠です。

ハードディスクの大容量化のための技術

従来のハードディスクは、1セクタあたり512バイトでデータの読み書きが行われていましたが、セクタ間にはデータが書き込めない領域が存在するため、セクタ数が多いほど無駄な領域が増加します。そこで、セクタサイズを8倍の4096バイト(4KB)に拡大し、記録密度を向上させる技術が導入されました。

ただし、古いOSは4KBセクタに対応していないため、互換性の問題が生じます。これを解決するために開発されたのが「AFT(Advanced Format Technology)」規格です。AFT対応のハードディスクは、物理的には4KBセクタで区切られていますが、OSからは512バイトセクタとして認識されるようにエミュレーションが行われています。この技術は「512e」(eはエミュレーションの略)とも呼ばれ、Windows Vista以降のOSでサポートされています。

さらに、Windows 7 SP1以降では、物理セクタと論理セクタの両方が4KBとなる「4Kネイティブ(4Kn)」のハードディスクにも対応しています。これにより、セクタサイズ変換によるパフォーマンス低下が解消され、今後は4Knハードディスクの普及が進むと予想されます。

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