高速スタートアップ・スリープモード|データ復旧
目次
知っておきたいパソコン基礎知識
このページではスリープモード、高速スタートアップ、完全シャットダウンについて解説いたします。それぞれの特徴に応じて適切に使い分けることで生産性が向上させることができる機能です。スリープモードは、短時間で作業を再開したい場合に最適で、電力を抑えつつ素早く元の状態に戻ることができます。
一方、高速スタートアップは、シャットダウン後の起動時間を短縮するのに便利な機能で、頻繁にパソコンを使う際に効果的です。完全シャットダウンは、システムをリセットしたい場合や、トラブルの解消が必要なときに有効で、メモリ内容を完全にクリアすることで問題解決に役立ちます。これらの機能を目的や状況に応じて活用することで、パソコンの作業環境を効率的かつ安定した状態に近づけることができると思います。
高速スタートアップについて
従来の起動プロセス(Windows 7以前)
Windows 7以前のパソコンでは、電源を切る際にいつも必ずメモリ内のデータがすべて破棄される仕組みでした。そのため、再び電源を入れる際にはシステムの全データを再読み込みし、周辺機器も再認識する必要がありました。この工程により、電源ボタンを押してから完全に起動するまでに数分間待つことが一般的でした。そのため、パソコン教室などで情報の授業などを行う際に電源ボタンを押し、起動が完了するまでの数分間何も作業を行うことができず、数分間待つ必要がありました。
高速スタートアップ(Windows 8以降)
Windows 8以降のシステムでは「高速スタートアップ」という新機能が搭載されています。この機能では、シャットダウン時にメモリ内容を含むシステム情報が専用のファイルに保存され、次回の起動時にそのデータを読み込むことで、短時間でシステムを立ち上げる仕組みになっています。
トラブル時の注意点
高速スタートアップは便利な機能ですが、トラブルが発生した場合に注意が必要です。問題の原因がメモリ上に存在している場合、シャットダウンしてもメモリの内容が再び読み込まれるため、状況が改善されない可能性があります。
このような場合、Microsoftは「シャットダウン」ではなく「再起動」を推奨しています。再起動を選択すると高速スタートアップ機能が無効化され、システム情報が再利用されないため、問題解決に効果的です。
#Windows10 の 「シャットダウン」 と 「再起動」 は終了時にパソコンへ保存されるデータが異なるため、その後起動する時の動作に違いが出ます。トラブルが起きた場合はシャットダウン→ 電源 ON ではなく、「再起動」 をお試しください。 #MSHelpsJP pic.twitter.com/glW68PExhx
— マイクロソフトサポート (@MSHelpsJP) August 16, 2018
ノートPCの場合には電源OFFの状態であったとしても高速スタートアップ機能を利用することで、実は電力消費がされており、その影響でバッテリーの減りが今まで使用していたPCと比較しても悪いのではないかと感じるケースがあります。
完全シャットダウンとは
通常の「再起動」を行うとメモリがリフレッシュされ、システムがクリーンな状態で再起動します。同様の操作を電源オフの際に実行したい場合には、「完全シャットダウン」という方法があります。
Windows 10では、スタートメニューの電源ボタンをクリックし、「Shiftキー」を押しながら「シャットダウン」を選択するだけで完全シャットダウンが実行されます。この操作によりメモリが完全にクリアされ、次回起動時には高速スタートアップ機能が無効化されるため、通常より起動に時間がかかります。
完全シャットダウンは、システムやメモリに問題がある場合や、周辺機器を正しく認識させたい場合に役立ちます。高速スタートアップによるトラブルを回避し、より安定した状態でシステムを立ち上げることが可能です。
スリープモードとは
高速スタートアップは、電源ボタンを押してからパソコンが使用可能になるまでの時間を短縮する機能ですが、それでも完全に起動するまでには若干の待ち時間が発生します。これに対して、「スリープモード」という機能は、パソコンをほぼ瞬時に復帰させることが可能で、すぐに使用を再開できる点が特徴です。
スリープモードでは、モニタやドライブといった消費電力の大きな部位を停止させつつ、メモリには引き続き電力が供給されるため、データを保持したまま操作の再開を待機する状態になります。マウスやキーボードに触れるだけでモニタが再び点灯し、パソコンが利用可能になります。また、ノートパソコンの場合は、液晶画面を閉じるだけで簡単にスリープ状態に移行できます。さらに、パソコンの設定で一定時間操作がない場合に自動的にスリープモードに入るよう調整することも可能です。
ただし、スリープモードは完全に電源をオフにしているわけではないため、この状態で電源が途切れるとメモリの内容が消失し、保存していない編集中のファイルも失われてしまいます。
また、スリープモードからの復帰時に古い規格の周辺機器が正常に動作しないケースもあります。これは、パソコンの設定で「USBのセレクティブサスペンド」が有効になっている場合に、USBへの電源供給が停止していることが原因である可能性があります。マウスやキーボードについては、ケーブルの抜き差しや再起動で問題が解消することが多いですが、USBメモリやポータブル外付けHDDのデータを開いた状態で認識しなくなると、データ消失のリスクが生じます。そのため、USB機器を使用中にスリープモードを利用する際は、十分な注意が必要です。