データ復旧が不可能・困難な障害・メディア
残念ながらどうやってもデータの復旧は不可能、もしくは非常に困難というケースもあります。
目次
物理フォーマット(ローレベルフォーマット・完全フォーマット)
主な対象メディア
- パソコン
- ビデオカメラ・デジカメ
フォーマットには、論理フォーマット(クイックフォーマット)と物理フォーマット(ローレベルフォーマット)があります。
デジタルのデータはすべて0と1の羅列で記録されており、「物理フォーマット(ローレベルフォーマット」を行うとデータ領域全体が全て0(ゼロ)という情報で既存のデータに上書きされてしまうため、事実上データが空の状態になってしまいます。そのため、データの復旧は100%不可能になります。
Windowsでフォーマットをする際のプロンプトに「クイックフォーマット」というチェックボックスがあり、ここにチェックを入れている場合は「論理フォーマット(クイックフォーマット)」であり、データの復旧は可能です。
フォーマットと削除の違い
https://www.datasmart.co.jp/knowledge/format-discs/デジカメ・ビデオカメラの中にはフォーマット・初期化を行うと物理フォーマット(完全フォーマット)が実行され、復旧が不可能なものがあります。
SDカードの復元事例
https://www.datasmart.co.jp/case/sdcard.htmlビデオカメラの復旧事例
https://www.datasmart.co.jp/case/dvc.html回復ドライブ(リカバリーメディア)の使用/macOS の再インストール
主な対象メディア
- Window / Mac
- USBメモリ
- 外付けハードディスク
PCに不調があるなど何らかの理由でUSBメモリ等のリカバリーメディアからOSの再インストールをした場合、実際に内部で実行されている処理は「フォーマット」と「その後の大量のシステムデータの上書き」です。上書きされてしまった部分のデータは復旧できないことに加え、運よく上書きを免れた部分のデータにも大量の断片化・破損が発生していることがほとんどです。
今後のトラブルに備えUSBメモリや外付けハードディスクに回復ドライブ(リカバリーメディア)を作成する際に、誤ってデータの入っているUSBメモリや外付けハードディスクを選択してしまった、という場合も上記と同様です。
外付けHDDの復旧事例
https://www.datasmart.co.jp/case/external-hdd.htmlUSBメモリの復元事例
https://www.datasmart.co.jp/case/usb.htmlSSD搭載パソコンやスマートフォンでの削除/フォーマット/初期化
主な対象メディア
- Surface
- Mac
- スマートフォン
近年のほとんどのパソコンでは記憶領域としてSSD (Solid State Drive)が搭載されています。以前まで使用されていたHDD(ハードディスク)とは違い、SSDには「Trim」という自己クリーンアップの仕組みが備わっており、削除したデータはただちに痕跡も含めて完全に抹消されてしまいます。特別な操作を行い意図的にOFFにしていない限りこの「Trim」機能は標準で有効になっておりますので、SSD搭載パソコンで削除・フォーマット・OSのリカバリーをした場合には基本的に不可能です。
現在市販・流通しているスマートフォンにも同様に「Trim」機能が搭載されており、OFFにすることもできませんので、削除・初期化したファイルデータ(画像・動画・音声など)の復旧はすべて不可能です。
アプリケーションをアンインストールした場合も同じくファイルが一括削除されているのと同じなため、復旧はできません。
チャットの履歴や電話帳、通話履歴などのデータベース内のレコードデータ(ファイルではないデータ)の場合には、困難ではありますが復旧の可能性は残されています。またファイル形式がNTFSでない場合や外付けSSDに関してはTrim命令が有効でない場合があり復旧の可能性がございますので、ご相談ください。
スマホ(iPhone・Android)の削除・初期化のデータ復旧ができない理由
https://www.datasmart.co.jp/knowledge/iphoneandroid-factory-data-reset/スマホのデータ復旧事例
https://www.datasmart.co.jp/case/smartphone.html
復号キーの分からない暗号化データ・ドライブ
主な暗号化製品・機能
- BitLocker(Windows)
- EFS(Windows)
- FileVault(Mac OS X)
- McAfee Endpoint Encryption
- Check Point Full Disk Encryption(Pointsec PC)
- 秘文
- CompuSec
- ハードウェア暗号化製品(外付けハードディスク・USBメモリ)
暗号化を解除することを復号といいます。通常IDやパスワードを入力することで自然と復号プロセスが進む仕組みとなっていますが、ハードディスクドライブや機器自体が故障したりして、通常の手順で復号ができない場合には、復旧が困難な場合があります。
また、設定されたパスワード(復号キー・回復キー)自体が特定できない場合には暗号化の解除ができず、復旧が不可能な場合もあります。
データ復旧と暗号化について
https://www.datasmart.co.jp/knowledge/encrypt-and-datarecovery/ランサムウェアによる暗号化
マルウェア(コンピューターウイルス)の一種であるランサムウェアに感染すると、パソコン内の全てのファイルが暗号化されてしまいデータにアクセスできなくなります。いくつものバリエーションがありますが、おそらく一番有名なのは「WannaCry/Wcry」でしょう。
これらのウイルスは暗号化したデータを人質に「身代金(Ransom)」を要求します。復号キーのない暗号化の解除は極めて困難であり、データの復旧は基本的に不可能です。
ランサムウェアとデータ復旧
https://www.datasmart.co.jp/knowledge/malware/パスコードの連続間違い・パスコード忘れた場合
主な対象メディア
- スマートフォン
スマートフォンの画面ロックには、セキュリティのため試行回数に制限が設けられています。
iPhoneの場合 11回連続で間違えてしまうと「iPhoneは使用できません iTunesに接続」や「セキュリティロックアウト」という表示が出てこれ以上パスワード入力ができなくなります。この状態になってしまった場合にはデータ自体が消えてなくなったわけではありませんが、内部データにアクセスすることが決してできず、データを復旧することも100%不可能です。
これは盗難や紛失時に第三者にデータが漏洩してしまうことのないよう、メーカーであるAppleが意図して設計した強力なセキュリティ対策の結果であり、仮に国防にかかわるほどの大事件で捜査機関から解除を命じられたとしてもApple自身でさえデータにアクセスすることはできないことが明言されています。
パスワードを忘れてしまい「iPhoneは使用できません ○○分後にやり直してください」という表示の場合には、困難ではありますが復旧の可能性は残されています。
折れ曲がってしまったmicroSDカード
通常サイズのSDカードとは違い、microSDカードは記憶領域であるNANDフラッシュメモリチップとコントローラー、外装カバーなどがすべて一体成型となった構造となっており、その構造上折れ曲がったりしてしまうとメモリチップが破損していしまいデータの復旧ができなくなります。
SDカードのデータ復旧事例
https://www.datasmart.co.jp/case/sdcard.html
完全消去ソフトによる削除
完全消去ソフトによる消去は、復旧が不可能になるよう全領域に対してランダムなデータの書き込みや物理フォーマット(完全フォーマット)を複数回(場合によっては10数回以上)行います。
これらの手法で消去されたデータは一切の痕跡が残っていないため、復旧は100%不可能です。
データを完全に削除する方法
https://www.datasmart.co.jp/knowledge/how-to-delete-data/ウイルスによるデータの上書き
パソコンに感染するコンピュータウイルス(マルウェア)の中には、データを書き換えてしまうものもあります。たとえば、2010年ごろに広がったウイルスは、あらゆるファイルをイカやタコのイラストに置き換えるものでした。また、ランサムウェアに感染すると、パソコン内のファイルが暗号化され、データを取り戻すために身代金を要求されることがあります。
このようなウイルスによってデータが上書きされると、元のデータの痕跡が一切残らないため、データの復旧は不可能となります。
コンピューターウイルスと対策ソフトについて