圧縮ファイルについて

圧縮ファイルを初めて知る方もいらっしゃるかと思いますが、E-mailが届いた時にどうすれば使えるのかわからない場合やセキュリティ面、特に情報漏洩のしないファイル共有方法をご検討なさっている場合に改めて詳しく調べてみている方もいらっしゃるかと思います。この記事では、情報システム部門、ICT部門、総務部門、DX推進の担当者の方のために、Zipファイルの基本的な概念やその活用方法、メリット・デメリット、そして圧縮形式の種類について詳しく解説します。

圧縮ファイルとは

圧縮ファイルとは、データを圧縮してサイズを小さくする技術を利用したファイル形式で、特にZip形式が広く使用されています。この技術を活用することで、データの転送時間を短縮し、メールサーバーの容量を節約することができます。

Zipファイルの基本と利便性

Zipファイルとは、複数のファイルを1つにまとめて圧縮し、データの質を保ったままサイズを小さくするファイル形式で、拡張子は「.zip」です。Zip形式を利用することで、大容量データの取り扱いが容易になり、ファイル転送が効率化されます。圧縮されたファイルを元の状態に戻す作業を「解凍」と言います。

メリット

  1. ファイルの容量を小さくできる
    Zipファイルを活用することで、元データの質を維持しながらファイルの容量を削減できます。これにより、E-mailで大容量のファイルを送信する際も、受信者側での処理がスムーズになります。
  2. フォルダにまとめて圧縮できる
    複数のファイルを1つのZipファイルにまとめることで、E-mailでの添付が容易になり、受信者のダウンロード負担も軽減できます。
  3. パスワードでファイルを保護できる
    一部のソフトウェアでは、Zipファイルにパスワードを設定することで、機密性の高いデータを安全に保護することが可能です。パスワードを知らない場合には開封することができないので安全です。
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注意点

  1. 解凍作業が必要
    圧縮されたデータはそのままでは利用できないため、解凍作業が必要です。OSによっては専用のソフトウェアが必要になる場合もあり、手間がかかることがあります。
  2. 容量が小さくならない場合がある
    圧縮してもファイルの容量が大きく変わらない場合があり、特に音声ファイルや画像ファイルでは顕著です。

ファイルの圧縮・解凍方法

Windowsの場合

  • 圧縮: ファイルやフォルダを右クリックし、「送る」→「圧縮(Zip形式)フォルダー」を選択すると、同じ場所にZipファイルが作成されます。
  • 解凍: 圧縮ファイルを右クリックして「すべて展開」を選択するか、Zipファイルをダブルクリックして中身を確認・コピーできます。

macOSの場合

  • 圧縮: ファイルやフォルダを右クリックして「ファイル名を圧縮」を選択することで、Zipファイルが作成されます。
  • 解凍: Zipファイルをダブルクリックするだけで解凍が開始されます。

要注意:MacとWindows間のZipファイルのやり取り

MacとWindowsでは、Zipファイルの互換性に一部問題が生じることがあります。これは、両者の文字コードやファイル圧縮の仕様が異なるため、特に日本語ファイル名が文字化けしたり、不要なファイルが表示されることが原因です。

ただし、最近のOSや圧縮ツールはこれらの問題に対して改善されており、多くの場合は通常の操作で問題なく解凍が可能です。それでも、互換性の問題が発生する場合は、クロスプラットフォーム対応の専用ソフトウェアを使用することで解決することができます。また、文字コードに特化した設定ができる圧縮ツールを利用することで、こうした問題を未然に防ぐことができます。

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スマートフォンの場合

  • 圧縮・解凍: スマートフォンでは、標準機能での対応が限られていますが、専用のアプリをインストールすることで、Zipファイルを開くことができます。iOSおよびAndroid向けの多くのファイルマネージャーアプリが、この機能を提供しています。

圧縮形式の種類

ZIP(ジップ)

  • 概要: ZIP形式は、WindowsやmacOSで標準サポートされている最も一般的な圧縮形式です。ライセンスフリーであり、さまざまな企業やアプリケーションで広く利用されています。

LZH(エルゼットエイチ)

  • 概要: LZHは日本で開発された圧縮形式で、特に日本国内での使用が多いです。WindowsではLZH形式のファイルを解凍できますが、標準機能での作成はサポートされていません。

RAR(ラー/アールエーアール)

  • 概要: RAR形式は、ZIPやLZHよりも高い圧縮率を持つと言われていますが、標準ではサポートされておらず、WinRARなどの専用ソフトウェアが必要です。

SIT(シット/エスアイティー)

  • 概要: SIT形式は、かつてMac OS 9でよく利用されていた圧縮形式です。現在のmacOSではZIP形式が標準となっており、SIT形式を扱うには専用のソフトウェアが必要です。

セキュリティにおけるZipファイルの問題点と代替手段

近年、パスワード付きZipファイルの使用は減少傾向にあります。2020年11月時点で、内閣府と内閣官房などの政府機関での使用の廃止が決まっています。こういった廃止の背景としては、ウイルス感染のリスクやセキュリティ対策として不十分であり、Zipファイルとパスワードが同時に漏洩するリスクが高いためです。また、サーバーのウイルスチェックをすり抜ける可能性や、送信者・受信者双方に手間がかかる点も問題とされています。

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代替手段

  1. ファイル転送サービス
    • 大容量のファイルを安全に送信できるサービスです。URLを受信者に送るだけで、データのダウンロードが可能です。
  2. クラウドサービス
    • インターネット上でファイルを保管・共有できるクラウドサービスは、特にテレワークやオンライン業務で活躍します。ただし、セキュリティには注意が必要です。
  3. ビジネスチャットツール
    • チャットを通じてファイルを共有でき、業務の効率化とセキュリティの両立が図れます。
  4. S/MIME(セキュアメール)によるE-mailの暗号化
    • S/MIMEはE-mail全体を暗号化し、改ざん防止にも役立つ技術です。デジタル署名が追加可能なので差出人が正しいかどうかもチェック可能です。ただし、送信者と受信者の両方が対応している必要があります。

エンドツーエンドの暗号化と復号化は、ファイル送信において非常に有効なセキュリティ手段であり、代替手段として利用されることが多いです。特に、E-mailやメッセージングアプリなどでデータのやり取りを行う際、エンドツーエンド暗号化を利用することで、送信者から受信者までの通信経路においてデータが暗号化された状態で保護されます。

エンドツーエンド暗号化の利点

  • 高いセキュリティ: メッセージやファイルは送信者の端末で暗号化され、受信者の端末でのみ復号化されるため、通信途中でデータが傍受されても、内容を解読することはできません。
  • プライバシー保護: 通信内容が暗号化されるため、サービス提供者や第三者がデータの内容にアクセスできない仕組みです。

エンドツーエンド暗号化が代替手段になる理由

パスワード付きZipファイルがセキュリティ上のリスクを抱えているのに対して、エンドツーエンド暗号化は、より高度なセキュリティを提供します。たとえば、ビジネスチャットツールやセキュアなファイル共有サービスがエンドツーエンド暗号化をサポートしている場合、これらを利用することで、ファイルの安全な送受信が可能になります。

ただし、エンドツーエンド暗号化は、送信者と受信者の双方が対応するアプリやサービスを使用している必要があり、設定や管理が必要になる場合もあります。そのため、利用者のニーズや環境に応じて、最適な方法を選択することが重要です。

まとめ

Zipファイルは、データを効率的に圧縮し、ファイルサイズを小さくする便利なツールです。しかし、パスワード付きZipファイルにはセキュリティリスクが伴うため、ファイル転送サービスやクラウドサービスなどの代替手段を検討することが推奨されます。圧縮形式には様々な種類があり、それぞれのニーズに応じて適切な形式を選び、安全で効率的なファイル管理を実現しましょう。データスマートでは、さまざまな圧縮ファイル形式のデータ復旧に対応しています。

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