SSDが認識しない場合の原因と対処方法

目次
知っておきたいパソコン基礎知識
SSDとは
2010年以前ではラップトップパソコンの内蔵ストレージといえばHDD(ハードディスク)が主流でしたが、近年ではSSD(ソリッドステートドライブ)を搭載したモデルが急増し、特にノートパソコンではSSDが標準となっています。さらに、2019年にはデスクトップパソコンにおいてもSSDの搭載率が初めてHDDを上回りました。
SSDのメリット
SSDの最大の特徴は、HDDと比較してデータの読み書き速度が非常に速い点です。このため、パソコンの起動時間が大幅に短縮され、操作時の動作もスムーズになりました。また、HDDとは異なり、モーターなどの駆動部品を持たないため、小型・軽量で消費電力が少なく、発熱も抑えられるというメリットがあります。さらに、HDDよりも衝撃に強い特性も備えています。これにより出張やリモートワークを行う際にPCの持ち運びが非常に楽になりました。
かつてはSSDの価格が高く、容量あたりのコストパフォーマンスではHDDに及びませんでしたが、近年では1TBを超える大容量のSSDも以前に比べてはるかに安価で入手可能となっています。
SSDの故障例
しかしながら、SSDもHDDと同様に記憶媒体であるため、突然故障することは珍しくありません。前触れなく動作しなくなるケースもあり得ます。
特に、パソコンが突然起動しなくなった場合、その原因としてSSDの障害が疑われることがあります。ただし、必ずしもSSDが原因とは限らず、他のパソコン内部の部品の不具合によって起動不能となるケースも考えられます。
では、もしSSDを搭載したパソコンが起動しなくなった場合、どのように対処すれば良いのかをデータ復旧の専門家の立場から解説致します。
パソコン動作中にフリーズした場合
パソコンが動作中にフリーズしてしまった場合、操作を受け付けなくなるため、やむを得ず電源ボタンを長押しして強制的に電源を切るしかありません。
再度電源を入れる際は、USBメモリや外付けHDDなどの外部接続機器は可能な限り取り外しておくことをおすすめします。起動時に「チェックディスク」や「スキャンディスク」を促すメッセージが表示されることがありますが、これらの処理はキャンセルしてください。また、「セーフモード」と「通常起動」を選択する画面が表示された場合は、セーフモードを選択するのも一つの方法です。
たとえ通常起動やセーフモードで起動できたとしても、同様のフリーズが再発する可能性があり、状況がさらに悪化することも考えられます。そのため、起動できた場合はすぐにパソコン内のデータのバックアップを取ることをお勧めします。
パソコンのOSが起動しない場合
パソコンの電源は入るものの、OSが起動しないという症状が発生することがあります。この場合、パソコン内部のファンなどの部品が動作している音は聞こえるものの、OSが立ち上がらない状態となります。
特に多く寄せられるご相談としては、黒い画面に「Operating system not found」と表示され、そのまま進めなくなるケースです。また、パソコンのメーカーのロゴ表示画面で止まってしまう、あるいはOSのロゴ表示画面から先に進まなくなるといった事例も見られます。
いずれのケースでも、SSDからのデータ読み取りができなくなっている可能性が高い状態に変わりありません。そのためこのような場合にはデータ復旧業者の初期調査や診断を利用なさることをおすすめします。無理にご自分で何か対処を行うことでかえって状態が悪化することがありますので、取り扱いには十分ご注意ください。
BIOSやUEFIの確認で状況を診断する
このような症状が発生した場合、パソコンのBIOSやUEFIを確認できれば、SSDが認識されているかどうかを確かめることで状況を診断することが可能です。
BIOSやUEFIでのSSD認識状況による判断
- SSDがBIOSやUEFIで認識されている場合
→ 機械的な損傷の可能性は低く、OSのシステム障害やファイルの破損などが原因と考えられます。 - SSDがBIOSやUEFIで認識されていない場合
→ SSDそのものが物理的に損傷(物理障害)している可能性が高い状態です。
物理障害が発生している場合、SSD内部の部品に異常が生じており、通電を続けることでさらに負荷がかかり、状態が悪化する可能性があります。そのため、むやみに起動を試みることは控えたほうがよいでしょう。
この場合、パソコンの修理を検討するか、データの復旧が必要な場合は「データスマート」にご相談なさることをおすすめします。
外付けSSDが認識されない場合
従来、SSDはパソコンの内蔵ストレージとして使用されることが一般的でした。しかし、その高速な読み書き性能や耐衝撃性を活かし、近年ではUSB接続の外付けストレージとして利用されるケースが増えています。
HDDのように持ち運び時の衝撃による故障リスクが低く、USBメモリのような感覚で手軽に使用できるのが特徴です。また、近年では4K動画やRAW画像など、データサイズの大きなファイルを扱う機会が増えており、SSDの高速な読み書き性能が大きな利便性をもたらしています。
外付けSSDが認識されない原因
ただし、外付けSSDもUSBメモリと同様に、突然認識されなくなるトラブルが発生することがあります。この場合、原因は大きく分けて「SSD本体に異常がある場合」と「接続するパソコン側に問題がある場合」の2つが考えられます。
外付けSSDが認識されない場合の確認ポイント
他のSSDやUSBメモリを接続しても同様に認識されない場合は、パソコン側のUSBポートや接続端子に異常がある可能性が考えられます。反対に、他のメディアは認識されるのに、そのSSDだけが認識されない場合は、SSD本体に問題があると判断できます。
① SSDの接続端子を確認する
まず、SSDの接続端子が変形していたり、外れかけていたりしないかをチェックしましょう。また、端子部分にホコリやゴミが詰まっていると、接触不良を引き起こす可能性があります。このような場合、端子部分を清掃するだけで認識が改善されることもあります。
② 接続ケーブルを交換する
次に、使用しているUSBケーブルを別のものに交換してみるのも有効な対策です。ケーブル類は消耗品であり、頻繁に抜き差しを繰り返すことで劣化し、内部で断線することもあります。そのため、見た目に異常がなくても、ケーブルを新しいものに変えて試すことをおすすめします。
③ 端子部分の扱いに注意
外付けSSDのケース自体は頑丈に作られているものの、端子部分は非常に繊細なため、わずかな衝撃で破損することも珍しくありません。もし端子部分が変形してしまった場合、ペンチなどで形状を修正しようとしたり、無理やり接続を試みたりするのは避けてください。誤った処置によって状況が悪化し、修復が困難になる可能性があります。
④ SSDの分解は厳禁
また、SSDを安易に分解すると、メモリチップやコントローラといった重要な部品が損傷し、データの取り出しが不可能になるリスクがあります。SSDは非常に精密な機器のため、適切な設備のない環境での分解は推奨できません。もしSSDの物理的な損傷が疑われる場合は、無理に対処せず専門家に相談することをおすすめします。
SSDに衝撃を加えてない場合
SSDを落としたり、ぶつけたりなど衝撃を加えたり、外傷がない場合であっても、内部のシステムが壊れたり、データに異常があることで正常に動作しなくなってしまうことがあります。PCに繋ぎこんでもデバイスとして認識はされるものの、エラーメッセージが表示されてしまい、肝心のデータが確認できなくることがあります。
「フォーマットする必要があります」と表示される場合
外付けSSDを接続した際に、「フォーマットする必要があります」と表示され、SSD内のデータが閲覧できなくなることがあります。
この症状は、SSD内部のデータ管理領域が破損した場合や、SSDそのものに機械的な異常が発生し、正常なアクセスができなくなっている場合に起こります。
注意点
この状態でフォーマットを実行すると、SSD内のデータがすべて消去されてしまうため、絶対にフォーマットは行わないでください。データを残したまま復旧を試みる場合は、適切な対応を取る必要があります。
チェックディスクの注意点
チェックディスクはWindowsに標準で搭載されている機能の一つですが、データの整合性を保つことよりも、メディアの正常動作を目的としているため、データが書き込まれた領域を上書きしてしまう可能性があります。
そのため、SSDを接続した際に「フォーマットしますか?」や「スキャンして修復しますか?」といったメッセージが表示された場合、安易に「ディスクのフォーマット」や「スキャンおよび修復」を実行しないように注意が必要です。
このような場合は、いったんSSDを取り外し、別のパソコンに接続して認識されるか試してみることをおすすめします。
他のパソコンに接続してもファイルを開くことができない場合には、SSD内部のデータの破損や物理的に損傷している可能性が高いです。
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