RoHS指令について
RoHS指令の項目をデータストレージ製品のWEBページやパッケージで目にする機会が増えてきたのではないでしょうか。これに準拠することで環境にやさしい製造工程で作っている製品であることをメーカーは消費者に伝えています。このページではRoHS指令について解説致します。
RoHS指令とは
RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances Directive)は、欧州連合(EU)によって制定された環境保護のための規制です。2003年に発効したこの指令は、電子・電気機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限することを目的としています。具体的には、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、および特定の臭素系難燃剤(PBBおよびPBDE)の6種類の物質が対象となっています。
成り立ち
RoHS指令の背景には、これらの有害物質が環境や人間の健康に与える影響を最小限に抑えるという目標があります。例えば、鉛は神経系に有害であり、特に子供に対して深刻な健康リスクをもたらすことが知られています。水銀も同様に神経毒性があり、カドミウムは腎臓や骨にダメージを与える可能性があります。六価クロムは発がん性があり、臭素系難燃剤は環境中での分解が難しく、長期間にわたり生態系に悪影響を与えることが懸念されています。
この指令は、EU市場において電子・電気機器を製造・販売する企業に対して適用されます。企業は、製品がRoHS指令の基準を満たしていることを証明するための適切な管理体制を整える必要があります。このため、サプライチェーン全体にわたる協力が求められます。部品供給業者や製造業者は、使用される材料が規制物質の含有量を超えないことを保証しなければなりません。
各国での対応状況
RoHS指令は、環境保護における国際的な基準の一つとして広く認識されています。EU以外の国や地域でも、これに倣った規制が導入されています。たとえば、中国の「China RoHS」や韓国の「K-RoHS」などがあり、これらも同様の目的で制定されています。このように、RoHS指令はグローバルな環境保護の取り組みにおいて重要な役割を果たしています。
RoHS指令はデータストレージ製品も対象としています。具体的には、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、USBメモリ、SDカード、外付けハードディスクなどの電子・電気機器が該当します。これらの製品に含まれる部品や材料が、RoHS指令で規定された有害物質の含有量基準を超えないようにする必要があります。
データストレージ製品に使用される部品や材料の例としては、以下のものが挙げられます:
- ハードディスクドライブ(HDD): 内部の磁気ディスク、ヘッド、回路基板、コネクタなど
- ソリッドステートドライブ(SSD): フラッシュメモリチップ、コントローラ、回路基板、コネクタなど
- USBメモリおよびSDカード: フラッシュメモリチップ、コントローラ、外装材料など
これらの製品は、製造工程において使用されるはんだ、配線、接着剤、プラスチック、金属部品などに、RoHS指令で規制されている鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、臭素系難燃剤(PBBおよびPBDE)を含まないように設計・製造される必要があります。
たとえば、外付けHDDではHDL4-Z19WATA-UBシリーズ(アイ・オー・データ機器)、SDカードではGH-SDC-AEUA32G(グリーンハウス)が準拠しています。
また、製品がRoHS指令に準拠していることを証明するためには、製造業者は適切な試験と文書化を行う必要があります。これは、製品がEU市場で販売される前に、製造業者が自らの責任で行う自己宣言方式であるため、サプライチェーン全体にわたる協力が不可欠です。部品供給業者からの証明書や試験結果の提出など、厳密な管理が求められます。
このように、データストレージ製品はRoHS指令の対象となるため、製造業者は指令の基準を遵守し、環境と人間の健康に配慮した製品を提供することが求められます。
J-Mossグリーンマーク
RoHSに似た動きとして、日本ではJ-Moss(Japan Management of Chemicals)規制があり、電子・電気機器に含まれる特定の有害物質について表示義務を課しています。この規制は、RoHS指令に類似しており、データストレージ製品も対象とされています。DynabookのEQUIUM 3530、EQUIUM 3410、富士通のパソコンのESPRIMO D550/BW、D581/DWなどが 対象になっています。
また、2001年4月1日から施行された「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」としてグリーン購入法や省エネ法に適合したDynabookのノートPC「V83/HV(ビジネス5in1/2in1ノート)もあります。
まとめ
RoHS指令は環境配慮製品を購入したい方は参考になさっても良いかもしれません。購買担当になった情シスの方がSDGsなどへの対応をする必要がある際に役に立つのかもしれません。
エネルギー消費効率なども省エネ法で定められた基準がありますので、社内ルール等がある場合には指標として十分に考慮する必要があります。