OS(オペレーティングシステム)について | データ復旧
オペレーティングシステム(OS)はコンピューターやデバイスが動作する上で必要不可欠な存在です。OSは、パソコンやスマートフォンなどのデバイスとソフトウェアの間の架け橋として機能し、以下のような役割を果たしています。見たことはあるし、聞いたことはあるけど、よくわからないOSについて解説いたします。
目次
OSとは
OS(オペレーティングシステム)とは、コンピュータハードウェアとソフトウェアリソースを管理し、ユーザーとのインターフェースを提供するシステムソフトウェアのことです。基本ソフトウェアとも呼ばれています。
- オペレーティングシステム(OS): コンピューターやデバイスの動作を管理し、ハードウェアリソースを制御する。
- デバイスドライバ: 特定のハードウェアデバイスとコンピューターシステムの間の通信を仲介するプログラムです。
オペレーティングシステムは、コンピュータの基本的な機能を担い、アプリケーションソフトウェアがハードウェアを効率的に利用できるようにする役割を持っています。
主な機能
- プロセス管理: OSは複数のプログラムやプロセスが同時に実行される際のスケジューリングを管理します。これにより、リソースの競合を防ぎ、システムの安定性と効率性を保ちます。
- メモリ管理: OSはメモリの割り当てと解放を行い、各プロセスが必要なメモリを確保できるようにします。また、仮想メモリシステムを使用して、物理メモリ以上のメモリ空間をプログラムに提供することもあります。
- ファイルシステム管理: ファイルやディレクトリの作成、削除、読み書きなど、データの永続的な保存を管理します。ファイルシステムは、データを整理し、アクセスを効率化するための構造を提供します。
- デバイス管理: OSはキーボード、マウス、プリンター、ディスプレイなどの入出力デバイスを管理し、デバイスドライバを通じてハードウェアとソフトウェアの間の通信を仲介します。
- ユーザーインターフェース: OSはテキストベース(コマンドラインインターフェース)またはグラフィカル(グラフィカルユーザーインターフェース)のユーザーインターフェースを提供し、ユーザーがシステムと対話できるようにします。
代表的なオペレーティングシステム
OSはパソコンやスマートフォンを動かす上でなくてはなりません。OSが正常に動作しなくなってしまうようになるくらい、なくてはならない存在です。パソコンのメーカー、スマホのメーカーによってOSが異なりますので、代表的なものをご紹介いたします。
Windows
マイクロソフト社によって開発された、世界で最も広く使用されているOSの一つです。2020年前後ではシェアは90%程度とほとんどのパソコンのソフトや周辺機器がWindowsを中心に開発されてきました。それもあり、ビジネス環境や個人使用向けに広く普及しています。
MS-DOSから改善を加えられているWindows9xシリーズと、パソコンがビジネスシーンで利用される機会が増えてから開発されたWindowsNTシリーズの2つのバージョンがあります。
Windows9x系は家庭用・個人向けのOSとして開発されており、Windows95、98、98SecondEdition、Meの4つのバージョンがあります。ただし、規格として古いMS-DOSとの互換性を保持するためにOSの基本構造に多少の問題があることもあり、動作が不安定になっています。
特に、Windows9x系の最終版のWindowsMeはハードウェアの進化とパソコンの利用シーンの多様化に伴い、多機能を持ち合わせて開発されたこともあり、不具合が多くWindows9x系でもっとも評判が悪いOSとなってしまいました。
MacOS
アップル社によって開発された、Macコンピュータ専用のOSです。使いやすさとデザインに重点を置いています。2020年以降、Appleは自社製のApple Siliconチップを搭載したMacを導入し、これに伴いMacOSはIntelプロセッサとApple Siliconの両方に対応しています。これにより、MacOSはさらに高性能かつ省電力なシステムとして環境配慮型の進化を遂げています。
AppleのOSは、初めて登場した際に「MacOS」ではなく「System」と呼ばれており、日本語版では「漢字Talk」という名称が使われていました。このOSは、コマンドラインでの操作ではなく、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)とマウスを使用した操作を導入し、デスクトップ上にアイコンを表示してマウスで操作するという、現代のパソコン操作の基本形を確立しました。
バージョン7.6以降、このOSは「MacOS」と名称が変更され、MacOS 9.2.2までリリースされました。そして2001年には、BSD UNIXをベースとした全く新しいOS「Mac OS X」が登場しました。これに伴い、それ以前のMacOSは「Classic」と呼ばれるようになりました。Mac OS Xにはサーバー向けのバージョンも存在し、通常のMac OS Xと同時期にリリースされるようになりました。このサーバー版は、通常のMac OS Xの機能に加えて、サーバー向けの機能を追加したものです。
MacOSは、早期から多色高解像度や色調管理に対応していたため、デザインや印刷業界で広く支持され、DTP(デスクトップパブリッシング)の分野でも業務用ソフトが充実しています。
世界全体のOS市場ではWindowsが高いシェアを持っていますが、デザインや印刷など特定の分野ではMacOSが高いシェアを誇っています。また、WindowsやUNIXなどと異なり、MacOSはApple社のハードウェアにのみインストールされているため、「MacOSを搭載したパソコン=Apple社の製品」となります。
Linux / UNIX
Linuxは2020年以降、デスクトップ用途においてもUbuntuやFedora、Debianなどのディストリビューションが人気を集めており、一般ユーザーにも利用されています。また、クラウドコンピューティングやコンテナ技術(DockerやKubernetes)など、新たな技術分野でもLinuxは重要な役割を果たしています。
そもそもLinuxは、1991年にフィンランドのヘルシンキ大学に在籍していた学生リーナス・トーバルズ氏がUNIXをベースに独自に開発したオペレーティングシステム(OS)です。LinuxはGPL(GNU General Public License)に基づいて無料で使用でき、ソースコードが公開されているため、誰でも自由に改変・再配布が可能です。このオープンソース性により、世界中のプログラマーや開発者がLinuxの開発に貢献し、広く普及しました。
Linuxの元となったUNIXは、1969年にAT&T社のベル研究所で開発されました。UNIXは当時、メディア代程度の実費で配布されていたため、大学や研究機関、政府機関で広く利用され、その後、多くの派生OSが誕生しました。AT&Tが開発した初期のUNIXは「System V」として知られています。一方、カリフォルニア大学バークレー校が学術目的でUNIXを基に開発した「BSD(Berkeley Software Distribution)」は、System Vとは別の系統として発展し、現在のUNIX系OSは主にSystem V系統とBSD系統に分かれています。
LinuxやUNIXは、Windows系OSに比べてネットワーク機能や安定性に優れ、セキュリティも強固であるため、企業の基幹業務用サーバーや大型計算機、ネットワークサーバーとして広く利用されています。個人のパソコンでUNIX系OSを目にすることは少ないかもしれませんが、一般的に販売されているNAS(ネットワークアタッチトストレージ)やルーター、HDDレコーダーの一部製品には、UNIX系のOSが採用されています。
また、Mac OS X(現在のmacOS)はBSDをベースに開発されており、Android系スマートフォンのOSにはLinuxが採用されています。このように、LinuxやUNIXを直接意識しないユーザーでも、知らないうちにこれらのOSの恩恵を受けていると言えるでしょう。
Android OS
Androidは、Googleが主導して開発したモバイルオペレーティングシステムで、世界中のさまざまなメーカーのスマートフォンやタブレット、さらにはスマートウォッチやテレビ、自動車のインフォテインメントシステムなど、多岐にわたるデバイスに搭載されています。Androidは、Linuxカーネルをベースにしており、オープンソースとして提供されているため、デバイスメーカーや開発者が自由にカスタマイズできる柔軟性が特徴です。
Androidは2008年に最初のバージョンがリリースされ、以来、毎年新しいバージョンが登場しています。各バージョンはアルファベット順にデザートや甘味の名前がつけられており(例:Cupcake、Donut、KitKat)、バージョン10以降は数字で命名されています。最新のAndroidバージョンでは、ユーザーインターフェースの進化や新機能の追加、パフォーマンスの向上が継続的に行われています。
Androidの大きな特徴は、そのオープン性とカスタマイズ性です。これにより、サムスン、Huawei、Xiaomi、Google Pixelといった異なるメーカーがそれぞれ独自のユーザーインターフェースや機能を持つデバイスを提供できるようになっています。また、Google Playストアを通じて数百万のアプリが提供されており、ユーザーは多彩な選択肢からアプリをインストールしてデバイスをカスタマイズすることができます。
Androidは、特にGoogleのサービスと密接に統合されています。Googleアカウントを用いることで、Gmail、Google Drive、Google Photosなどのクラウドサービスを利用でき、データの同期やバックアップが容易になります。また、Googleアシスタントと呼ばれる音声アシスタント機能が搭載されており、音声コマンドでさまざまな操作を行うことができます。
Androidはその柔軟性から、スマートフォン市場で最も広く利用されているOSとなっており、特に新興国を中心に非常に高い市場シェアを持っています。多様な価格帯のデバイスが存在するため、幅広いユーザー層に対応できるのもAndroidの強みです。
最近のAndroidバージョンでは、セキュリティとプライバシーの向上に重点が置かれています。アプリのアクセス権限をより細かく制御できるようになり、OSのアップデートもより迅速かつ効率的に配信される仕組みが導入されています。また、Android 12以降では、マテリアルデザインを進化させた「Material You」というデザイン言語が導入され、ユーザーはデバイスの外観をより個別にカスタマイズできるようになっています。
iOS
iOSは、Apple社が開発したモバイルオペレーティングシステムで、iPhone、iPad、iPod TouchなどのApple製モバイルデバイスに搭載されています。iOSは、2007年に最初のiPhoneと共に発表され、当初は「iPhone OS」と呼ばれていましたが、2010年に「iOS」に名称が変更されました。
iOSは、macOSと同様にUNIX系のBSDをベースに開発されており、Appleのエコシステムと緊密に統合されています。iOSは、タッチスクリーンデバイス向けに最適化されており、直感的なマルチタッチジェスチャー、アプリのアイコン配置、スムーズなアニメーションなど、ユーザーエクスペリエンスに優れた設計が特徴です。
また、iOSはAppleが厳密に管理するApp Storeを通じてのみアプリケーションが配布されるため、セキュリティが非常に高く、ウイルスやマルウェアのリスクが低いことでも知られています。これにより、ユーザーは安全で安定した環境でデバイスを利用することができます。
iOSは、継続的なアップデートにより、毎年新しい機能が追加されています。例えば、マルチタスク機能やSiri(音声アシスタント)、Face ID(顔認証)、Apple Pay(モバイル決済)などが随時導入され、ユーザーエクスペリエンスを向上させています。また、iOSはAppleのハードウェアとソフトウェアが密接に連携するため、デバイスの性能を最大限に引き出すことが可能です。
iOSは世界中で広く利用されており、特に北米やヨーロッパ、アジアなどで高い市場シェアを持っています。iOSは、Appleのデバイスとサービスをシームレスに連携させるプラットフォームとして、ユーザーに統一された体験を提供し続けています。
最近のiOSバージョンでは、プライバシーとセキュリティ機能の強化が進められており、ユーザーはアプリごとに位置情報やカメラ、マイクへのアクセス権限を細かく管理できるようになっています。また、iOS 14以降では、ホーム画面のカスタマイズやウィジェットの導入により、さらに柔軟でパーソナライズされた体験が可能になりました。
OSのアップデートについて
OS(オペレーティングシステム)のアップデート(更新)はウイルス感染や情報漏洩などの被害から守るためにも行った方が良いものです。アップデート方法は、近年ではほとんどがOTAによって行われます。
OTAとは
OTA(Over-The-Air)とは、モバイルデバイスにおけるファームウェアやソフトウェアの更新を、ワイヤレス通信を通じて行う技術です。ユーザーがPCを使わずにデバイス単体で最新のソフトウェアをダウンロードし、インストールできるのが特徴です。主にキャリアやデバイスメーカーが配信するもので、セキュリティアップデートや新機能の追加、バグ修正などが含まれます。OTAはデバイスのネットワーク接続を利用し、利便性が高い更新方法です。
Androidの事例:
- 更新の流れ: ユーザーが設定メニューからアップデートの有無を確認し、利用可能なアップデートがある場合、Wi-Fi接続を利用して直接ダウンロードし、インストールが可能です。サムスンやGoogleなどのメーカーが提供するファームウェア更新は、端末に直接配信されます。
- 例: Android 13へのアップデートでは、バッテリーの最適化や新しいプライバシー機能が追加されました。
iOSの事例:
- 更新の流れ: Appleは新しいiOSバージョンをリリースすると、すべての対応デバイスに対してOTAアップデートを配信します。これにより、ユーザーは設定メニューから簡単に最新のiOSにアップデートできます。
- 例: iOS 17では、新しいロック画面機能やメッセージアプリの改良が行われました。
Windows Update:
- 更新の流れ: MicrosoftはWindows OSのアップデートをインターネット経由で直接提供します。ユーザーは設定メニューから更新プログラムを確認し、自動的にダウンロードしてインストールすることができます。これはOTAアップデートの一形態といえます。
- 例:Windows 10 May 2020 Update (Version 2004)では、Windows Subsystem for Linux 2 (WSL 2) が導入され、LinuxカーネルをWindows上で実行できるようになりました。また、新しいタスクマネージャー機能や、クラウドでのPCリセット機能が追加されました。
MacOSのアップデート:
- 更新の流れ: AppleはmacOSの新バージョンやセキュリティアップデートをOTAで配信しています。Mac App Storeやシステム設定から直接ダウンロードしてインストール可能です。
- 例:macOS Big Sur (Version 11.0)では、ユーザーインターフェースが大幅に刷新され、新しいコントロールセンターや通知センターが導入されました。また、Apple Siliconチップを搭載したMacのサポートが追加され、パフォーマンスが大幅に向上しました。
アップデートの手順
デバイスやプラットフォームにより異なりますが、一般的には次のような手順で行われます。
1. 自動更新(OTAアップデート):
- Android: 設定メニューの「システム」→「システムアップデート」から確認し、自動でダウンロードとインストールが行われます。
- iOS: 設定メニューの「一般」→「ソフトウェアアップデート」で新しいiOSを確認し、ダウンロード後にインストールします。
- Windows: Windows Update機能を使い、設定→更新とセキュリティ→Windows Updateから更新を確認し、自動的にインストールします。
- macOS: システム設定→ソフトウェア・アップデートから、利用可能なmacOSの更新を確認し、ダウンロードとインストールを実行します。
2. 手動更新:
- 特定のツール(例:Samsung Smart SwitchやiTunes)を使用して、デバイスをPCに接続し、手動でOSをアップデートする方法もあります。これは通常、OTAでの更新が失敗した場合や、特定の状況で使用されます。
3. 更新の確認とインストール:
- バックアップ: 更新前には必ずデータのバックアップを取ることが推奨されます。
- 更新のダウンロード: 更新が利用可能な場合、デバイスは新しいOSのファイルをダウンロードします。
- インストール: ダウンロード後、ユーザーがインストールを開始するか、自動的にインストールが行われます。インストールにはデバイスの再起動が必要です。
まとめ
これらの手順にご対応いただければ、デバイスを最新の状態に保ち、新機能やセキュリティ強化を享受することができます。オペレーティングシステムは、コンピュータやデバイスを使用する上で不可欠な存在であり、日々のテクノロジーの進化と共に、その機能や効率性も向上しています。