パーティションテーブルについて
Windowsにおけるパーティション情報の制御規格はMBR(マスターブートレコード)とGPT(GUIDパーティションテーブル)の2つです。パーティション分割することで1台のハードディスクやSSDを2つ以上のドライブとして利用することができます。
このページではパーティションについて解説いたします。
目次
MBRについて
MBR(Master Boot Record)の正式名称はマスターブートレコードです。ストレージデバイス(ハードディスクドライブやSSD)上の最初のセクタ(物理的なストレージの最初の部分)に存在する特別なブートセクタです。MBRは、オペレーティングシステムをロードするためにコンピュータが使用する情報を含んでいます。主に以下の二つの主要な機能があります。
- ブートストラップローダー(ブートローダー): MBRには、コンピュータの起動時に実行される小さなプログラムが含まれており、これがオペレーティングシステムをロードするプロセスを開始します。このプログラムは、ストレージデバイス上にインストールされているオペレーティングシステムを見つけ出し、その制御を移行します。
- パーティションテーブル: MBRには、ストレージデバイス上のパーティションレイアウトを記述するパーティションテーブルも含まれています。このテーブルは、デバイスがどのように区切られ、異なるパーティションがどのように配置されているか(例えば、どのパーティションがブート可能であるかなど)をシステムに伝えます。
MBRの制限の一つは、それがサポートするストレージデバイスの最大サイズが2TB(テラバイト)に限られていることです。これは、パーティションテーブル内のアドレス指定方式に起因します。また、MBRは最大4つのプライマリパーティションのみをサポートしますが、拡張パーティションと論理ドライブを使用することで、この制限を回避することが可能です。
これらの制限を克服するために、GPTが導入されました。GPTは、より大容量のストレージサポートと、より多くのパーティションを可能にする、MBRに代わる新しいパーティションテーブルの形式です。
GPTについて
GPT(GUIDパーティションテーブル)は、ストレージデバイスのパーティションテーブルのレイアウトを定義するための標準です。UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)の一部として導入され、従来のMBR(Master Boot Record)パーティションスキームの制限を克服するよう設計されました。GPTは、大容量ドライブのサポートやより多くのパーティションを作成する能力など、多くの利点を提供します。
GPTの主な特徴は以下の通りです:
- 大容量ドライブサポート: GPTは、2TBを超える大きなストレージデバイスをサポートします。理論上、GPTは18EB(エクサバイト)までのドライブサイズを扱うことができますが、実際の限界はオペレーティングシステムやハードウェアに依存します。
- 多数のパーティション: GPTでは、ドライブ上に128個以上のパーティションを作成することが可能です(オペレーティングシステムによってはこれ以上になることもあります)。これは、MBRの4つのプライマリパーティションの制限に比べて大幅な増加です。
- 改善されたデータ整合性: GPTは、ヘッダーとパーティションテーブルの両方に対してCRC32(巡回冗長検査)チェックサムを使用してデータの整合性を保護します。また、主要なGPTデータ構造のバックアップコピーをディスクの末尾に保持し、データが損傷した場合の復旧を容易にします。
- 互換性の高さ: 多くの最新のオペレーティングシステム(Windows、macOS、Linuxなど)はGPTに対応しており、UEFIベースのシステムでの使用を推奨しています。
GPTを使用する主な利点は、これらの技術的改善により、より大容量のストレージデバイスをより効果的に管理し、システムの信頼性を高めることができる点にあります。GPTは、現代のコンピュータシステムにおけるデータストレージのニーズに適応するために設計されています。
GPTはMBRに比べて技術的な進歩が見られます。特に、サポートするストレージ容量の大幅な増加、より多くのパーティションをサポートしやすい構造、そしてデータ復元が容易である点が挙げられます。また、UEFIと組み合わせることで、最大限コンピューターシステムの起動と管理機能を拡張できると言えます。
MBRとGPTの違い
特徴 | MBR | GPT |
---|---|---|
最大サポート容量 | 2TB | 18EB(約18.8ゼタバイト) |
パーティション数の制限 | 最大4つのプライマリパーティション(拡張パーティションを使用して論理パーティションを追加可能) | 128以上(オペレーティングシステムによる) |
データの復元 | パーティションテーブルが破損した場合の復元が困難 | ヘッダーとパーティションテーブルの複数のコピーによりデータ復元が容易 |
ブート方式のサポート | BIOS | UEFI |
互揞性 | 広範な互換性(古いシステムやOSとの互換性) | 新しいシステムでのサポートが標準化(一部の古いシステムやOSではサポートされない場合がある) |
MBRとGPTの見分け方
使用しているハードディスクがMBR形式かGPT形式かを確認するには、Windowsの「ディスクの管理」から確認することができます。以下の手順で「ディスクの管理」を起動し、確認する方法をご紹介します。これらの確認手順により、お使いのディスクのパーティションスタイルを簡単に識別できるので、必要に応じて適切な操作を行うことが可能です。
ディスクの管理画面の起動手順:
- 「スタート」メニューを右クリックし、「ディスクの管理」を選択します。
※最新のWindows 10およびWindows 11では、「スタート」を右クリックするだけで「ディスクの管理」にアクセスできます。 - もしくは、「スタート」→「コントロール パネル」を開きます。
- 「システムとセキュリティ」をクリックします。
- 「管理ツール」を選択します。
- 「コンピューターの管理」をダブルクリックします。
- 左側のメニューから「ディスクの管理」をクリックします。
ディスクの種類を確認する方法:
- 「ディスクの管理」画面で、確認したいディスクを右クリックします。
- 「プロパティ」を選択し、「ボリューム」タブをクリックします。
- 「パーティション スタイル」の項目に、「マスターブートレコード(MBR)」または「GUIDパーティションテーブル(GPT)」と表示されます。
MBRは古い形式で、2TBまでのディスクサイズと4つのプライマリパーティションの制限があります。一方、GPTは最新の形式で、大容量ディスクのサポートやより多くのパーティションを作成できる利点があります。最近のパソコンやサーバーでは、GPTが標準となっています。特に、UEFIを使用するシステムではGPTが必要です。
パーティションのトラブルについて
パーティション情報において想定していない障害が発生すると、そのパーティション全体が読めなくなったり、認識できなくなったりしてしまいます。このような場合、以下のエラーメッセージが表示されることがあります。
「フォーマットしますか?」
このメッセージは、フォーマット情報が破損しているか、メディア自体に問題があり、フォーマットを行わないとメディアが使用できない状態を示しています。この時点でフォーマットを実行すると、すべてのデータが消失するため注意が必要です。
「ディスクを挿入してください」
メディアが挿入されているにもかかわらずこのメッセージが表示される場合、ディスクが正常に読み込まれていない可能性があります。このエラーメッセージは、USBメモリやSSDのように物理的なディスクが存在しないメディアでも表示されることがあります。
「ファイルまたはディレクトリが壊れているため、読み取ることができません」
このエラーメッセージは、メディアへのアクセス自体は可能であるものの、ファイルシステムが破損しているため、特定のファイルやディレクトリにアクセスできない状態を示しています。
「スキャンして修復しますか」「このドライブを修復する」
メディアにエラーが発生しており、正常にアクセスできない状態を示すメッセージです。チェックディスク(CHKDSK)などのプログラムを使用して修復を試みることができますが、修復操作によってデータが破損するリスクもあるため注意が必要です。
上記のようなパーティションやフォーマット情報のトラブルが発生した場合、データスマートでは各種メディア・機器からのデータ復旧が可能です。トラブルに直面した際は、データを保護するためにもデータスマートにご相談ください。
さらに、近年のデータ復旧技術の進展により、物理的なダメージがある場合でも復旧の可能性が高まっています。問題が発生した際には、早急に対応することがデータ損失を最小限に抑えるために重要です。