データ復旧の料金を決定する方法や要因

なぜデータ復旧料金には幅があるのか?

データ復旧を専門業者に依頼される方の中には料金相場を調べたり、見積りを取ろうとなさる方がいらっしゃいます。料金相場はとてもざっくりと説明させていただくと10万円~30万円です。また、見積りは記録媒体自体を調査しなければ正確にはわからないのです。また、その費用や見積りには大きな幅があります。なぜ料金が一定ではなく幅があるのか、その主な理由を解説させていただきます。


故障の症状や障害の程度による違い

データ復旧費用を左右する最大の要因は、故障の症状や障害の程度です。軽度の障害であれば、比較的容易にデータを復旧できるため、コストも抑えられることが多いです。しかし、深刻な障害が発生している場合は、復旧作業に多くの時間や高度な技術が必要となるため、費用も高額になる傾向があります。

例えば、HDDが物理的に破損していたり、火災や水害による損傷を受けていた場合、復旧の難易度が大幅に上がります。こうしたケースでは、特殊な設備や高度な技術が必要となるため、費用が高くなるだけでなく、場合によっては復旧自体が不可能なこともあります。これらの多くをデータ復旧専門業者では論理障害、物理障害に分類されます。

論理障害とは

論理障害とは、記憶媒体そのものに物理的な異常があるわけではなく、内部のデータ構造に何らかの問題が生じたことで、データの読み出しができなくなる障害を指します。誤ってファイルを削除してしまった場合や、フォーマット、リカバリ操作を行った際にも発生することがあり、これらも論理障害に該当します。たとえば「フォーマットしますか?」といったメッセージが表示されるケースや、うっかりデータを削除してしまったような場合は、多くが論理的な修復処置によってデータの復元が可能です。

まず「見積書」とあわせて、「復旧可能なデータのリスト」を開示してもらうことができるので、料金相場と照らし合わせてご確認のうえで、復旧作業をご依頼いただけます。

物理障害とは

物理障害とは、記憶媒体自体に電気的あるいは機械的な故障や不具合が発生し、データの読み出しができなくなる障害を指します。たとえば、落下や水没といった衝撃が原因で発生することがありますが、必ずしも外見に傷や破損が見られるとは限りません。経年劣化などにより、内部的に物理障害が発生するケースも少なくありません。

電気的・機械的な異常によって重度の物理障害が発生していると診断された場合には、ご依頼主のご了承をいただいた上でを実施いたします。

この調査が完了次第、「復旧可能なデータのリスト」と「見積書」をご確認いただいたうえで、復旧作業を行うかどうかをご判断いただけます。

初期調査や診断の結果、障害レベルが高いと判断された場合には、お客様のご希望により、重度障害調査を行わずに記憶媒体をそのまま返却することも可能です。重度障害調査には、開封処置や内部パーツの交換といった、物理的な作業が伴います。


データ復旧希望のメディアの違いによる価格差

データ復旧料金表

料金に影響を与えるもう一つの要因は、データが保存されているメディアの種類です。例えば、HDDとSSDでは構造や復旧の難易度が異なります。

一般的に、SSDはHDDに比べて高速でデータを読み書きでき、物理的な故障リスクも低いとされています。そもそも構造、データ保存の仕組み、すべてが異なります。しかし、SSDはデータの管理方式がHDDとは異なり、データ復旧が難しくなるケースが多くあります。特に、コントローラーの故障やメモリチップの障害が発生した場合は、復旧作業が非常に複雑になり、作業時間も長くなるため、料金が高くなることが一般的です。

このように、障害の程度やメディアの特性によってデータ復旧の難易度が異なり、それが料金の幅につながる要因となっています。

記録媒体別のデータ復旧の料金相場

記録媒体によってデータ復旧の料金が異なります。これはここまでの解説をお読みいただいた方はすでにご理解いただいているかと思いますが、下記に媒体別でまとめてご紹介いたします。

パソコンのデータ復旧

パソコンのデータ復旧費用は、一般的に5万円〜20万円程度が相場です。
パソコンのデータ復旧では、HDDやSSDを取り外して直接データを読み取る方法が一般的ですが、これには専門的な知識が必要です。また、場合によってはパソコン本体を分解する必要があるため、慎重な作業が求められます。

HDDのデータ復旧

HDDのデータ復旧費用は、5万円〜15万円程度が目安です。
HDDの復旧費用は、故障の程度によって大きく異なります。例えば、磁気ヘッドの破損など深刻な重度の物理障害が発生している場合は、作業の難易度が高くなるため、料金も高額になりやすい傾向にあります。

サーバのデータ復旧

サーバのデータ復旧費用の相場は、15万円〜100万円程度と幅広くなっています。
サーバは複数のHDDを搭載し、RAID(複数のHDDを組み合わせたデータ保護技術)を利用していることが多いため、HDDが1台故障した場合でもデータを復旧できるケースがあります。しかし、複数のHDDが同時に故障すると復旧が非常に困難になり、その分費用も高額になりやすい点に注意が必要です。

SSDのデータ復旧

SSDのデータ復旧費用は、5万円〜30万円程度が相場です。
HDDに比べて物理的な故障が少ないSSDは、軽度の障害であれば比較的容易に復旧できることが多いですが、障害の原因によっては高額になることもあります。特に、コントローラーの故障やデータの暗号化に関連するトラブルが発生している場合は、復旧の難易度が上がるため、注意が必要です。

USBメモリのデータ復旧

USBメモリのデータ復旧費用の相場は、1万円〜10万円程度で済むことがほとんどです。一方で破折していたり、PCに差し込んでも認識しなくなってしまっている場合などは高額になることがあります。
小型で持ち運びやすいUSBメモリは、物理的な損傷を受けやすく、故障しやすい特徴があります。軽度の論理障害であれば比較的低コストで復旧できることが多いですが、基板の破損など深刻なトラブルが発生している場合は、費用が高額になったり、復旧が困難になる可能性があるため注意が必要です。

データ復旧の費用を抑える方法

データ復旧には高度な技術や専用機器が必要なため、料金が高額になりがちです。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を抑えることが可能です。ここでは、データ復旧のコストを抑えるための方法を2つ紹介します。

復旧ソフトの使用

データを復旧する手段の一つとして、市販の復旧ソフトを利用する方法があります。これを使えば、自分で故障したストレージからデータを復元できる場合もあります。

しかし、復旧ソフトは専門業者が使用する高度なツールと比べると、復元できるデータの範囲が限られ、成功率も低くなる可能性があります。さらに、誤った操作によってHDDやSSDのデータ構造が書き換えられると、その後の専門業者による復旧が困難になり、成功率が下がってしまうことがあります。

最悪の場合、復旧ソフトの使用によってデータが完全に失われるリスクもあるため、特に重要なデータを扱う場合は、安易に復旧ソフトを使用せず、最初から専門業者に相談することをおすすめします。


複数の業者で料金を比較

データ復旧業者の料金体系は業者ごとに異なり、同じ症状であっても費用に大きな差が出ることがあります。そのため、複数の業者から見積もりを取り、料金を比較することが重要です。

特に、「完全成功報酬制」を採用している業者であれば、データが復旧できなかった場合に料金が発生しないため、費用面でのリスクを抑えることができます。万が一、復旧が失敗した際の負担を減らしたい場合は、このような料金体系の業者を選ぶのも一つの方法です。

業者選びで失敗しない方法

データ復旧の専門サービスで同じ形式でサービス提供していることはありません。1つとして同じものがないのは依頼を検討しているデータ復旧依頼主も同じです。そのため、さまざまな形式のサービスがありますので、失敗しないための選び方をご紹介いたします。


安すぎる業者には注意が必要

データ復旧の費用を抑える方法を紹介しましたが、価格だけを基準に業者を選ぶのは危険です。極端に安い業者の中には、技術力が不足しているところや、十分な実績がないところもあります。そのような業者に依頼すると、データが適切に復旧されなかったり、最悪の場合、二度と復旧できない状態になるリスクもあります。

さらに、プライバシー保護やセキュリティ対策が不十分な業者の場合、復旧したデータが流出する可能性もあるため、信頼できる業者かどうかをしっかり確認することが大切です。料金だけでなく、技術力や評判も考慮して業者を選びましょう。

案件数が多いのに復旧率が90%を超える業者

復旧案件数が多いにもかかわらず、復旧率が90%を超えている業者には注意が必要です。復旧率は障害の種類や媒体の状態により大きく左右されるため、常に高水準を維持するのは現実的ではありません。過度に高い復旧率を掲げる業者は、誇張や不正確な表示をしている可能性があり、信頼性に欠けるおそれがあります。また、契約条件も依頼主にデメリットの大きい設計になっている場合もあります。

データ復旧は、料金や評判を踏まえて業者を

重要なデータを扱う場合、復旧ソフトではデータの完全性を保証できないことが多いため、専門のデータ復旧業社に依頼するのが望ましい選択です。業者を選ぶ際には、信頼性はもちろん、技術力やこれまでの実績などをしっかりと確認しましょう。

また、見積もりを取る際には、復旧するデータ容量や障害の深刻度によって料金がどのように変動するかを事前に理解しておくことも大切です。

費用面でのリスクを抑えたい場合は、データ復旧が成功した場合にのみ料金が発生する「完全成功報酬制」を採用している業者を検討するのも有効です。

依頼する際は、自分が復旧を希望する媒体の種類やデータの内容・容量などに応じて、最適な業者を選定するよう心がけましょう。

誤って削除したデータや、故障によって消失したデータを復旧したいと考える場面は少なくありません。その際、専門の業者に依頼すると、費用がどのくらいかかるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、データ復旧を業者に依頼する際の料金相場や費用の仕組みについて詳しく解説させていただきました。あわせて完全成功報酬制についてもご理解いただけたのではないでしょうか。

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